初代門司港駅の遺構=北九州市門司区清滝で2023年11月19日午後1時29分、伊藤和人撮影

 北九州市門司区の複合公共施設建設予定地で見つかった明治期の初代門司港駅(当時の名称は門司駅)関連遺構について、市は12日の市議会本会議で、一部移築を含めて検討していることを明らかにした。

 本会議で、最大会派「自民・無所属の会」の中村義雄市議の「遺構の一部を切り出して残すことも含めて検討した方がいいのではないか」との質問に、上村周二・都市戦略局長は「遺構を見られるようにしてほしいという声に、何らかの形で応えられるよう考えないといけない」と答弁した。

 閉会後、武内和久市長は報道陣に「(複合公共)施設整備を進める前提で、市民の気持ちに寄り添った対応ができるか情報を収集している」と述べた。

 市は当初、遺構の一部を移築後に複合公共施設を建設する方針だったが、市議会は3月、市の説明不足を理由に移築関連経費を補正予算案から削除する修正動議を可決。これを受け、市は追加調査と記録保存後に遺構を解体すると方針を転換した経緯がある。

 遺構を巡っては、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)が今月、遺構の解体中止を求める緊急要請「ヘリテージアラート」を市に発出している。【山下智恵】

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