女子生徒が遺体で見つかった公園に供えられた花束やジュース。手を合わせに来た近所の男性は「冬は1、2メートルの雪が積もり、人は近づかない」と話した=北海道旭川市で2021年4月30日午前11時10分、岸川弘明撮影

 北海道旭川市の市立中2年、広瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)が2019年にいじめを受け、21年に自殺してから3年半。旭川市13日、いじめと自殺の因果関係を認めた再調査委員会の報告書を公表した。今津寛介市長がこの日の市議会本会議で読み上げたのは、同じようないじめが二度と起こらないようにと願う遺族の切実な思いだった。

 遺族は報告書で通常、公表されないような爽彩さんや遺族の個人情報も公開に踏み切った理由について、「臆測、根拠のない断定、誹謗中傷が関係者にとどまらず一般市民にも及んでいたため」と苦しい胸中を明かした。

 コメントは「個人情報を含むものが公表されることが当たり前にしないでほしい。ほかの事案で当たり前になれば、プライバシーや尊厳に関わり、関係者が調査に協力することや調査に後ろ向きになる」と言及。悩んだ末の判断に理解を求めた。

 そのうえで、「娘が何に苦しみ、悩んでいたのか、抱えていた特性が身近にあること、このようないじめはどこの地域でも起こることだと感じていただき、同じことが繰り返されないよう、同じような悩みを抱える方にも役立ててほしい。今後は静かに見守っていただければ」と訴えた。

 今津市長は12日に遺族方を訪れたことも明らかにした。「報告書を通じて短い14年の人生を垣間見ることができた。さまざまないじめが心に深い苦痛を与え続けてきたことが克明に記載されている。それでも最後まで『自分が悪い』と自らを責め立てる姿に胸が締め付けられた。遺族が爽彩さんのために戦っている姿も記載され、心情を察するに余りある」と寄り添った。

 一方、加害者などの今回の問題に関係した生徒について、「報告書は法的な責務の有無を問うものでない。だが、今回の報告や遺族の思いをしっかりと受け止め、反省すべきは反省し、爽彩さんが見ることのできなかった未来に向かって爽彩さんの分まで歩んでほしい」と述べた。【横田信行】

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