「SHOGUN」で主演男優賞を受賞した真田広之さん㊨と主演女優賞を受賞したアンナ・サワイさん=ロイター

【ロサンゼルス=中藤玲】米テレビ界で最高の栄誉とされる第76回エミー賞の授賞式が15日(日本時間16日)、米ロサンゼルスで開かれ、ドラマ「SHOGUN 将軍」がドラマシリーズの作品賞に選ばれた。主演とプロデューサーを務めた真田広之さんが日本人俳優として初めて主演男優賞を受賞するなど、合計で18冠に輝いた。

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SHOGUNは作家ジェームズ・クラベルの1975年のベストセラー小説が原作。真田さんが徳川家康をモデルにした主人公の武将を演じた。領地に漂着した英国人航海士と交流しながら敵対する大老たちと戦い、天下取りを目指す物語だ。

15日の授賞式では、細川ガラシャをモデルにした通詞(通訳)でもあるミステリアスな女性を演じたアンナ・サワイさんも、日本人俳優で初めて主演女優賞に選ばれた。

真田さんは授賞式で壇上に上がり、「『SHOGUN』は東洋と西洋が出合った夢のプロジェクトだった。人々が協力すれば奇跡を起こせると教えてくれた」と英語でスピーチ。作品賞の受賞時には日本語で「これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての人たちに感謝したい。あなたたちから受け継いだ情熱と夢は、海を渡り国境を越えました」と涙ながらに語った。

サワイさんは「SHOGUNは一生に一度の役を与えてくれた。ヒロ(真田さん)が扉を開いてくれ、今も私のような人々のために扉を開き続けてくれている」とスピーチした。

「SHOGUN」はこのほか監督賞なども受賞。合計18部門で、日本人9人が受賞する快挙となった。物語の主要な舞台である伊豆地方の野心家を演じた浅野忠信さんと、主人公の宿敵となる大老を演じた平岳大さんも助演男優賞にノミネートされていたが、受賞を逃した。

米ウォルト・ディズニー傘下の米FXが制作し、日本人のキャストやスタッフが多く参加した。日本を描く歴史劇として違和感のない表現をするために、真田さんがプロデューサーも兼務した。時代考証を重ね、カナダでの撮影中は演出や小道具など細かい点にも気を配り、当時を忠実に再現した。

米国ではFXで放送、動画配信サービス「Hulu」で配信され、日本では動画配信「ディズニー+(プラス)」で視聴できる。配信開始から6日間で900万回の再生を記録し、世界でのヒット作となった。

同小説は1980年にも三船敏郎さん主演で米国でドラマ化された。米CNNは今回の受賞作と旧作の違いについて、「当時よりも日本人からの視点で物語が展開されたことは、グローバルなテレビ環境を表している。日本社会の男性優位な構造などを考えると、女性の役割を強調した点でも制作陣の手腕は見事だ」と評した。

米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「80年代の米国のビジネスパーソンは日本の経済的成功を理解しようと(旧作ドラマから)侍の秘密を学び始めた。2020年代の米国の指導者たちは、日本の戦国時代に目を向けて、ひっくり返った世界でどう競争して生き残るかの教訓を学ぶだろう」と報じた。

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