2022年、北海道知床半島沖で観光船が沈没した事故で、運航会社の社長桂田精一容疑者の身柄が9月19日、検察に送られました。

 事故から2年半近くでの急展開、地元の関係者や家族の思いを聞きました。

 業務上過失致死と業務上過失往来危険の疑いで、19日送検された観光船カズワンを運航していた「知床遊覧船」社長の桂田精一容疑者(61)。

 フードをかぶり、うつむいた様子で車に乗っていました。

事故当日の状況

 2022年4月23日午前10時ごろ、北海道の斜里町ウトロ漁港から、乗客乗員26人を乗せ出航した観光船カズワン。

 海面水温、約4℃の冷たい知床の海に26人は投げ出され、20人が死亡、6人が行方不明となりました。

 事故直後、公の場に姿をみせなかった桂田容疑者。

 会見を開いたのは事故から4日後でした。

 「この度はお騒がせして大変申し訳ございませんでした」(知床遊覧船社長 桂田精一容疑者、2022年)

 会見で土下座し、謝罪した桂田容疑者。

 この会見で3回土下座を繰り返し、謝罪の姿勢をアピールしました。

 「桂田さん、説明責任果たせたと言えますかね、あれで」(記者)

 「社長、逃げも隠れもしないって言ったじゃないですか」(記者)

 「会見があるんですよ」(桂田容疑者)

 説明会は開いたものの、桂田容疑者が遺族に直接謝罪することはなかったといいます。

事故から2年5か月…桂田容疑者逮捕

 そして事故発生からまもなく2年5か月の2024年9月18日。

 第1管区海上保安本部は安全を確保すべき義務を怠り船を沈没させ、26人を死亡させたとして逮捕。

 海保は桂田容疑者の認否を明らかにしていません。

 逮捕から一夜明け、観光地・知床は。

 「遺族の方も大変な2年半だったと思う。ちょっと(逮捕が)遅すぎるくらいだと思いますが逮捕されてよかった」(兵庫からの観光客)

 雄大な自然が人気の知床。

事故が及ぼした影響

 観光客の姿もありましたが、あの日と同様、悪天候。

 9月19日は観光船は欠航となっていました。

 「ここまで時間かけて証拠も集めたんだろうから、やっぱり厳罰に処してほしい」(観光船の元船長)

 「知床遊覧船」とは別の観光船で船長をしていた男性。

 男性が勤めていた観光船の会社は、事故のあおりなどを受け乗客が激減し、廃業に追い込まれました。

 「あれだけの事故だったのだから、謝罪が先だったと思う。(桂田容疑者は)すべて受け入れて謝罪するのが1番だと思う」(観光船の元船長)

 大きな節目を迎えた地元の観光関係者は…

 「これから真実が明らかになるが、事故があったからこそ知床は変わったんだと(言えるものを)構築していきたい」(知床斜里町観光協会 新村武志 事務局長)

家族の思い

 元妻と当時7歳の息子が行方不明となっている北海道帯広市の男性。

 逮捕までの2年半近くは苦しみの日々だったと言います。

 「2年半も事件からたっているのかと、逮捕まで結構時間がかかったと思いましたね。(桂田容疑者には)自分のやった罪を認めて、他人のせいにしないで、しっかり責任をとってほしいと思います」(元妻と息子が行方不明の男性)

 逮捕を受けた9月18日、男性は2人にようやく前向きな報告をしました。

 「2人の名前を呼びかけて、桂田容疑者が逮捕されたよって。これからですが、ちょっと一歩進んだかな」(元妻と息子が行方不明の男性)

 事故直後からボランティアとして捜索してきた桜井さんは…

 「(逮捕まで)長かったが海保には感謝している。(これまで)家族にとっては耐え難い日々だったと思うが、逮捕したことは家族はきっと救われたと思う」(捜索ボランティア 桜井憲二さん)

 桂田容疑者はこれまで海保の聴取に、「出航は船長が判断した。海が荒れれば戻ると思っていた」などと話していたことがわかりました。

 「条件付き運航」という言い回しで船長に責任を押し付けるような発言を繰り返していた桂田容疑者。

 運航管理者としての過失をどこまで問えるのか調べが続きます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。