「仲間を増やして同じ境遇で苦しんでいる人が一人でも救われれば」。NPO法人の設立について説明する代表理事の江東愛子さん=東京・霞が関で2024年9月20日午後1時11分、銭場裕司撮影

 認知症が原因で行方不明になった人を捜し続ける家族がつながり、同じ目線で話せることを目指したNPO法人が設立された。こうした活動を手がける法人は全国初で、相談先もなく孤立していた家族が頼れる場を目指す。20日に東京都内で記者会見した代表理事の江東愛子さん(46)=長崎市=は「抱えている気持ちを話してもらい、つながっていければ。同じようにつらい思いをする人がいなくなってほしい」と話した。

 法人は8月に設立した「いしだたみ・認知症行方不明者家族等の支え合いの会」(本部・長崎市)。今年施行された認知症基本法で定められた「認知症の日」(9月21日)を前に会見した。

 認知症が原因で行方不明になり2023年に警察に届け出があったのは過去最多の1万9039人。統計を取り始めた12年のほぼ倍となった。多くは無事に見つかるものの、行方不明のままの人もいる。

2023年4月16日に長崎市の自宅を出たまま行方不明になった坂本秀夫さん。身長150センチほどでやせ形。紺色のトレーナーと黒色の長ズボン、黒スニーカー、紺色の野球帽を身につけていた=家族提供

 江東さん自身も昨年4月に行方不明になった父親の坂本秀夫さん(74)を捜し続けている。相談先もなく苦しい思いを抱えていたが、同じ境遇にある家族と話して救われたことが法人設立のきっかけになった。

 法人ではオンラインなどで家族の集いを開く予定。捜索に関するアドバイスを手がけ、行政・警察との連携も模索する。江東さんは「家族同士がつながって抱える思いや表に出ない問題を話し合い、その声を社会に広く知ってもらいたい」とも話している。法人の連絡先は080・7857・0689。【銭場裕司】

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