厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 全国の児童相談所による2022年度の虐待相談対応件数について、一部の自治体が国の記入要領に沿わない報告をしていた問題で、厚生労働省とこども家庭庁は24日、訂正された報告を再集計した結果、対応件数は21万4843件だったと発表した。昨年9月発表の速報値(21万9170件)から4327件減少した。

 虐待相談対応件数は、全ての都道府県と政令指定都市、児相を設置する中核市と特別区が毎年、国に報告する。国の虐待防止政策の根拠となり、児童福祉司の配置数を決めるのにも使われる。一部の自治体が不適切な報告をしているとの報道を受けて今年1月、22年度の対応件数について調査票の再提出を求めたところ、78自治体のうち約3割が数字を訂正した。

 減少幅が大きかったのは埼玉県、東京都、京都府。原因として、記入要領が分かりにくいことや、十分な確認をせずに慣例で報告したことを挙げたという。

 21年度以前も記入要領に沿わない報告をした自治体があるとみられ、今後調査する。さかのぼって訂正できない場合、1990年度から始まった統計の連続性が失われる可能性がある。

 21年度の対応件数は20万7660件で、22年度はこれを上回った。こども家庭庁虐待防止対策課の野中祥子課長は「比較は難しい」としながらも「依然として虐待件数が高い数値にあると捉えられる」と話した。

 25年度分からは、調査主体を厚労省からこども家庭庁に移管する。自治体から「分かりにくい」との声が相次ぐ記入要領を含め、調査項目を再検討する方針。【黒田阿紗子】

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