24日午前8時14分ごろ、東京・伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震が発生した。気象庁は伊豆諸島と小笠原諸島に津波注意報を発表し、午前中に解除。伊豆諸島の八丈島で50センチ、神津島で20センチ、三宅島と伊豆大島で10センチの津波を観測した。被害は確認されなかった。
24日朝に津波を引き起こしたM5・8の地震は、伊豆諸島南部の「須美寿(すみす)島」付近で発生した。海底には過去の火山活動でできた直径約8キロの陥没地形、須美寿カルデラがある。今回とよく似た同規模の地震は2015年5月にも近くで発生しており、東京大地震研究所の三反畑(さんだんばた)修助教(地球物理学)は「今回の地震も、須美寿カルデラと関連した地震だったと考えられる」と指摘する。
三反畑さんらは15年の地震について、カルデラに沿ってできた環状の断層がマグマの押し上げによって跳ね上げ戸(トラップドア)のように持ち上がる「トラップドア断層破壊」が原因だったとみられることを明らかにしている。今回の地震も地震波形が15年のものと似ていることや、規模に比べて大きな津波が発生する特徴が合致していることから、同様の現象が起こった可能性があるという。
須美寿島については気象庁が今月19日、海水の変色が広がっていることから、周辺海域に噴火警報を発表していた。三反畑さんは「これから静穏化する可能性もあるが、噴火活動に移行しても不思議ではなく、注視する必要がある」と話している。
過去には15年だけでなく06年や18年にも似た地震が発生しており、類似の現象は繰り返して起こっている。ただ、いずれも後に火山活動は収まった。一方、三反畑さんによるとガラパゴス諸島のシエラネグラ火山では、トラップドア断層破壊が起きた数時間後に噴火しているという。【大野友嘉子】
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