能登半島を襲った豪雨では、500人以上の住民らが避難生活を送っている。元日の地震で被災者を支え続けた後、1カ月あまりで再開した避難所も。運営側からは「1月1日に後戻りだ」との声が漏れる。
甚大な被害となった石川県輪島市。海に近い中心部から約4キロ山側に進んだところにある河原田公民館では24日現在、25人が身を寄せている。入り口には支給された飲料水の袋が積まれ、廊下は汚れを防ぐためのブルーシートが一面に敷かれている。
「外出中で誰も家にいなかったので助かったが、一歩間違えれば、巻き込まれていた」。避難してきた男性(66)は土砂で家が押しつぶされたという。「2度の災害で心が折れそうだ。もう集落には住めず、今後のことを考えると不安でしかない」と話す。
公民館には男性のほか、家屋に土砂が押し寄せたり、浸水被害に遭ったりした人が訪れている。うつろな表情でしゃがみ、一点を見つめる高齢の男性も。最も幼くて3歳の子供もいるという。
この公民館は正月の地震の発生から8月5日まで避難所として運営されてきた。記録的な豪雨により、再び住民らが安全に暮らす場所となり、図書室と和室の2部屋を避難所として活用している。
「断水しているので、トイレが使えないのが困っています」。館長の古谷裕さん(66)が訴える。地震後には移動式の「トイレカー」2台が備え付けられたが、今はない。凝固剤を使ってしのいでいる。
季節は移ろい、朝晩が冷え込むようになってきた。地震の時に市から提供を受けていた寝具は返却しており、今は1人1枚の毛布があるのみだ。
古谷さんは「地震と水害のダブルパンチ。避難している方たちの精神的なダメージは大きい。早く支援がほしい」と語る。
石川県によると、25日現在で県内の避難所は輪島、珠洲(すず)両市と能登町の計31カ所で開設され、514人が身を寄せている。【国本ようこ】
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