埼玉県杉戸町下野にある河畔砂丘「高野砂丘」の町有地について、県教育委員会が県の天然記念物に追加指定することに同意するよう求めたのに対し、町が2月、付近の道路開発を理由に指定を辞退していたことが明らかになった。町議会は27日、辞退の撤回を求める町民団体の請願を賛成多数で採択し、併せて、請願への対応結果を町議会に報告するよう町に求める議決も行った。
河畔砂丘は、浅間山などの火山灰由来の砂が堆積(たいせき)したもの。利根川旧河道沿いの中川低地に広く点在し、県が数カ所を天然記念物に指定している。同町の高野砂丘は全長2800メートル、幅85メートルで、県教委が2017、18年に砂丘の一部にあたる八幡神社境内と西隣の町有地「下野の森」を天然記念物に指定。さらに、県文化財保護審議会は2月、八幡神社の南に隣接する町有地約520平方メートルについても追加指定するよう答申した。
県教委から同意を求められた町は2月27日、「付近で道路開発を予定しており、工事が安定段階に達するまでは追加指定を控える」と辞退届を提出した。
町有地から南へ100メートル以上離れた場所で、東武杉戸高野台駅西口につながる下野久喜線の道路建設が計画されており、建設を町長選の公約に掲げた窪田裕之町長が指定による影響を懸念したという。町議会での答弁によると、伊藤美由紀・町教育長が「県教委などとの関係が将来的に悪化しかねない」などと説得したものの、町長の「政治的判断」で辞退が決まった。
これに対し、住民団体「すぎと環境会議」が「町有地は下野久喜線にかからず、辞退理由が理解できない」などとして辞退の撤回と追加指定への同意を求める請願を町議会に提出していた。【萩原佳孝】
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