昭和天皇のご学友で長く侍従を務めた永積寅彦さん(1902~94年)の遺族が、昭和天皇ゆかりのすずり箱を静岡県沼津市に寄贈した。すずり箱のふたには沼津御用邸のかつての冠木門(かぶきもん)や富士山が蒔絵(まきえ)で描かれており、当時の知事が皇室に献上したものとみられる。10月1日から31日まで、沼津御用邸記念公園西付属邸で一般公開する。
すずり箱は永積さんが68年に侍従次長を退官した時に昭和天皇から贈られ、永積さんの孫が所有していた。
福岡万里子・国立歴史民俗博物館准教授と高沢弘明・日大准教授の調査によると、昭和天皇(当時は皇太子)のご結婚祝いとして、24年に知事が沼津御用邸付近の風景にちなんだすずり箱、料紙箱(書簡や書物を入れる箱)、文台(低い文机)の3点を献上したという記録が宮内庁書陵部の史料にある。
永積さんは退官時に料紙箱も昭和天皇から贈られており、別の遺族が既に沼津市に寄贈し御用邸記念公園で展示されていたことから、今回の寄贈が決まったという。【石川宏】
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