ベッドに横たわり透析を受ける患者。長時間かかるため、テレビが用意されている=宮崎県延岡市の延岡クリニックで(同クリニック提供)

 透析期間が30年以上になると寝たきりの頻度が高くなることが、九州医療科学大(宮崎県延岡市)薬学部の戸井田達典准教授(43)らのグループによる研究で判明した。

 グループは、新潟大、福島県立医科大、東京女子医大、日本大の医学部教授ら6人。グループによると、日本は30年以上の透析患者が多い点で世界に類をみない国で、透析の長期化によるさまざま合併症が指摘されていたが、こうした実態の一端をデータとして裏付けたという。

戸井田・九州医療科学大准教授=宮崎県延岡市で、2024年9月5日午後0時18分、加藤学撮影

 グループは、全国の透析患者のデータを蓄積している日本透析医学会統計調査データベースの中から、2018年時点で20歳以上の患者約32万人分を解析。その結果、透析が短い患者と比べ、30年以上の患者は寝たきりやフレイル(心や体の動きが弱くなる状態)の有病率が増加していることが分かった。

 また、50歳以上の透析患者(約22万7000人)のうち30年以上は2・4%の5510人おり、その特徴として大腿(だいたい)骨骨折と神経圧迫による手指のしびれなど「手根管症候群」が多い傾向が確認された。

 データ解析と論文執筆を担当した戸井田准教授は「透析患者の高齢化が進み、どう治療介入していくかが課題になっている。今後はデータを年を追って分析することで、新たな知見を得たい」と話した。【加藤学】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。