透析期間が30年以上になると寝たきりの頻度が高くなることが、九州医療科学大(宮崎県延岡市)薬学部の戸井田達典准教授(43)らのグループによる研究で判明した。
グループは、新潟大、福島県立医科大、東京女子医大、日本大の医学部教授ら6人。グループによると、日本は30年以上の透析患者が多い点で世界に類をみない国で、透析の長期化によるさまざま合併症が指摘されていたが、こうした実態の一端をデータとして裏付けたという。
グループは、全国の透析患者のデータを蓄積している日本透析医学会統計調査データベースの中から、2018年時点で20歳以上の患者約32万人分を解析。その結果、透析が短い患者と比べ、30年以上の患者は寝たきりやフレイル(心や体の動きが弱くなる状態)の有病率が増加していることが分かった。
また、50歳以上の透析患者(約22万7000人)のうち30年以上は2・4%の5510人おり、その特徴として大腿(だいたい)骨骨折と神経圧迫による手指のしびれなど「手根管症候群」が多い傾向が確認された。
データ解析と論文執筆を担当した戸井田准教授は「透析患者の高齢化が進み、どう治療介入していくかが課題になっている。今後はデータを年を追って分析することで、新たな知見を得たい」と話した。【加藤学】
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