准教授と労働契約を結ぶ際に労働条件を書面で明示せず、労働時間の管理も怠ったのは労働基準法に違反するなどとして、慶応義塾大が昨年3月に藤沢労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが明らかになった。慶応大は毎日新聞の取材に対し、「是正勧告を真摯(しんし)に受け止め、指導内容に沿って是正した」と事実関係を認めている。
関係者らによると、慶応大は2020年に湘南藤沢キャンパスの体育学部の教員として採用した40代の女性准教授に対し、労基法で明示が義務付けられている就業時間や休日、賃金支払いの方法などを労働契約書面に記載していなかった。タイムカードなど客観的な記録での労働時間の把握も怠っていたとして労基署は指導票を交付した。
非正規で働く教員の待遇は不安定で、長時間労働になりがちだとされる。女性は「教員といっても有期教員は立場が弱く、仕事を振られれば断りにくい。自身で労働時間をコントロールするのは難しいため、学部としての管理は必要だ」と指摘する。
女性は10年単位のプロジェクトに向けて採用されたとして長期雇用を期待したが、3年で雇い止めにされたと訴えている。労働契約上の地位確認と未払い残業代の支払いを求めた訴訟が横浜地裁で係争中だ。【宇多川はるか】
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