岩手県の岩手山の噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)から、2(火口周辺規制)に引き上げられた。1998年以来の入山禁止となったが、噴火による被害が想定されるのは火口の2キロ圏内。周辺の居住地域は離れており、県と気象庁は「情報に留意しつつ、普段どおりの生活を」と冷静な対応を呼びかけている。
3日午前、岩手山周辺の滝沢市。レベル引き上げから一夜明け、防災防犯課には登山に関する問い合わせが5件ほどあった。担当者は「紅葉の季節とあって、楽しみにしていたようだ。登山口を閉鎖したことを説明した」と話す。一方で、市の体制はほぼ通常。市長をトップとする災害対策本部の設置はレベル4(高齢者等避難)の段階という。
八幡平市にも同様の問い合わせがあった。八幡平、三石山など他の観光名所については規制はないことを説明。商工観光課の担当者は「秋の観光シーズンでもあり、風評被害が心配。正確な情報に基づき、行動してほしい」と語った。
雫石町には秋田新幹線の駅がある。しずくいし観光協会によると、JR東日本の観光切符の利用期間とも重なり、高齢者を中心に観光客が増えている。担当者は「情報発信は重要。『岩手山以外の登山は可能』とホームページに掲載した」と話した。
現行の噴火警戒レベルは2007年に導入された。今回のレベル2では噴火による噴石の飛散区域について、「西岩手山の火口2キロ範囲」と想定。盛岡地方気象台は「火口に近づかなければ安全で、既に規制済み。人が居住するエリアに影響はない」と説明する。
達増拓也・岩手県知事(岩手山火山防災協議会会長)は2日、最新情報に留意することを呼びかけつつ、「普段通りに生活していただければと思います」とのコメントを出した。【高橋昌紀】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。