10月10日、大阪府警に、新たな足痕跡副鑑定官が誕生した。
刑事部鑑識課足跡係に所属する上野梓さん(32)だ。
大阪府警の中でも足痕跡を鑑定できる立場の人は、数人しかおらず、上野さんの今後の活躍に、鑑識課は期待を寄せている。
■犯人が現場に残したあらゆる痕跡を鑑定するプロ 大阪府警には数人しか在籍せず
足痕跡鑑定官は、事件現場から採取された足跡から靴の種類を特定するなどし、鑑定書にまとめるのが仕事だ。
足跡だけでなく、タイヤ痕といった犯人が現場に残したあらゆる痕跡を鑑定することができ、鑑定書は裁判で証拠としても採用されるため、鑑定官の責任は重大だ。
上野さんが今回指定された副鑑定官のほかにも、警察には、鑑定官、主任鑑定官の立場があり、大阪府警では数人しか在籍していない。
■模様が同じ靴底でも、ズバリ言い当てる能力
記者らを前に、上野さんはデモンストレーションを行った。
靴底の模様が同じ2つの靴と、それぞれの足跡を採取したシートが用意され、上野さんは、拡大鏡などを使って、慎重に見比べる。
2種類の足跡と靴を一致させるには、ほんの小さな違いも見逃してはならないが、上野さんは見事に一致させていた。
■年間1000件以上の「足跡」を鑑定
上野さんは2015年に警察の一般職員として採用された。
配属先の上司が鑑識課の足跡係に在籍していたこともあり、興味を持ち、2019年に念願叶い、足跡係に配属されたという。
その後は、事件現場で採取された足跡を年間1000件以上鑑定し、能力を磨いてきた。
■『被害者の力になりたい』上野さんの原動力
多くの足跡が重なっている状態のものや、雨が降った後のものなど、採取される足跡は様々で、鑑定するのは決して簡単ではないが、上野さんは『被害者の力になりたい』という思いで、取り組んできたそうだ。
■足跡を鑑定 容疑者の特定に貢献『被害者の心の痛みを少しでも取り除きたい』
そんな中、2022年には、大学生が男に額を蹴られた事件を担当。
被害者の額から採取された足跡を鑑定し、容疑者の特定に貢献したという。
【足痕跡副鑑定官 上野梓さん】「被害者の心の痛みを少しでも取り除いてあげられたかなという思いがあり、これからもそんなことができるように頑張っていこうと思っています」
実は、大阪府警では、女性が足痕跡の鑑定官になったのは、初めてだ。
上野さんは、副鑑定官となった今、さらに上の立場の鑑定官や主任鑑定官を目指したいと意気込んでいる。
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