化学部門が入る北海道大理学研究院=札幌市北区で鳥井真平撮影

 北海道大理学研究院の化学部門で複数の教員が「教授会によって組織的に孤立させられている」と訴えている問題で、北大の教職員組合は17日、問題の解決を求める宝金清博学長宛ての要望書を大学に提出した。教員に正当な処遇を与える指示を化学部門に出すことなどを要望した。

 化学部門では、教授が定年退職や異動などで不在になった研究室に残った教員を「旧スタッフ」などと呼んで区別している。部門の教授会に当たる「講座委員会」が2020年度に作成した内部基準に基づき、ほとんどの旧スタッフは学生も配属されず1人で研究する環境に置かれている。

 同組合は要望書で▽化学部門の教員の処遇や講座委員会の決定に関する事実確認とその正当性を確認する▽不当だった場合、正当な処遇を与えるよう指示する▽部門が対応を拒むか十分な対応を行わない場合、大学は「部局自治」を言い訳とせず、実効性のある対応を部門に求める――ことなどを大学に求めた。

 同組合の清水池義治・執行委員長は「教員があるべき姿から懸け離れた状態にあり、明らかに人権侵害だ。部門内で正当化されていたのも異常だ」と問題視。「問題が発覚したにもかかわらず、公的な説明もない。部局任せにせず、大学本部が責任を持って対応すべき事案だ」と指摘した。

 北大は「内容を確認の上、真摯(しんし)に対応していく」とコメントした。

 毎日新聞は10月、旧スタッフ以外にも理学研究院で孤立した環境に置かれている助教がいることを報じた。同組合はこれも踏まえ、大学に問題解決を求めることを決めた。【鳥井真平】

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