名古屋市中心部などで14日以降、サルの目撃情報が相次いでいる。群れを離れたオスザルとみられ、エックス(ツイッター)には撮影されたサルの画像のほか、「街中でもサル出るんだね!」「登下校とか心配……」などといった声も上がる。愛知県警などは「目を合わせず、刺激しないで」と呼びかけている。
県警などによると、サルが名古屋市内で目撃され始めたのは14日ごろ。同日午後1時ごろ、県警東署にサルに関する110番が4件あった。サルがいたのは東区泉2のビルや飲食店、住宅も多い人気のエリア。その後、高層ビルなどが立ち並ぶ中区の久屋大通周辺でも目撃され、警戒中の警察官が追跡したが、サルは熱田区内に逃げていったという。
14日午後2時ごろに中区の路上でサルを目撃した和菓子店「元祖 鯱もなか本店」の男性店員によると、サルは人間を気にする様子もなく、悠々と歩いて道路の真ん中で座り込んだという。「警察官が集まっていたので何かあったのかと思い見ていたら、サルが歩いてきてびっくりした」と話した。
14~15日には港区でも目撃情報があり、区役所はホームページで注意を呼び掛けた。さらに16日には、県西部の津島市と愛西市でも確認された。
大きさなどからサルはいずれも同じサルとみられる。しかし、本来は群れで生活しているサルがなぜ街中に現れたのだろうか。
東山動物園(名古屋市千種区)の今西鉄也副園長は「そう珍しいことではない」と話す。実際、今年5月にも愛知県東郷町や名古屋市内の街中でサルが目撃された。ニホンザルの若いオスは、夏から秋にかけて群れを離れて単独行動を取る特徴があり「離れザル」と呼ばれる。今回出没したサルも、その可能性が高いという。
「独り立ちをする時期で、他の群れを探して入っていったり、メスを誘ってグループを作ったりする。その移動の過程で街中に出てきたのではないか」と推測する。離れザルは群れやメスを求め、しばらくすると再び山に戻っていくのが通例という。
SNSでは、街中に突然現れたサルに驚きや不安の声が相次ぐ。出くわした場合、どう対応すればいいのか。
今西さんは「刺激しなければ攻撃してくることはないが、近付かないことが一番。出没情報を見聞きしたら、屋内にとどまって戸締まりをしてほしい」と注意を促す。特に、目を合わせると威嚇していると捉えられるといい、鉢合わせした場合は、目を合わせずに静かに立ちることが大切だという。【田中理知、塚本紘平】
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