2017年5月に北九州市小倉北区のアパート「中村荘」に放火し6人を殺害したなどとして、元住人の男性が17日に殺人罪などで起訴された事件について、福岡県警は被害者や遺族が「犯罪被害給付制度」に申請することを特例で認めると明らかにした。発生から7年以内とされる申請期限を過ぎていたが、容疑者逮捕まで約7年4カ月を要した影響を考慮した。
同制度は、1974年の三菱重工ビル爆破事件などを契機に導入された公的な被害者支援制度。被害程度に応じて最大で約4000万円が国から支給される。事件発生から7年が過ぎたり、被害を知った日から2年が経過したりすると申請できなくなるが、「やむを得ない理由がある」と都道府県警が判断すれば、半年以内の申請が認められる。
中村荘の火災は17年5月7日に起きたが、放火事件と断定できず、捜査は長期化した。元住人の井上浩二被告(56)=殺人罪などで起訴=が放火の疑いなどで逮捕されたのは火災から約7年4カ月後の24年9月26日で、県警は容疑者逮捕によって遺族らが初めて「犯罪被害に遭った」と知り得たと判断した。井上被告は起訴内容を否認しているが、犯罪かどうかは裁判結果ではなく警察側で決めることができるため、警察庁と協議の上、特例の適用を決めたという。【河慧琳】
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