秋田県発注の道路維持管理の公共事業を巡り、県職員の男が男鹿市の林業会社の元社長の男から現金を受け取った贈収賄事件の公判が、24日から秋田地方裁判所で始まった。初公判で被告の2人は「間違いない」と起訴内容を認めた。
この事件は、県秋田地域振興局建設部保全・環境課に所属していた三浦 学被告(49)が収賄の罪で、男鹿市の目黒林業の元社長・目黒 幹雄被告(46)が贈賄の罪で逮捕・起訴されたもの。
三浦被告は2023年3月、県が秋田市内の会社5社でつくる共同企業体(JV)と契約した事業のうち、道路沿いの木の伐採作業を目黒林業に再委託先されるよう、県側の立場を利用してあっせんした。そして、2024年1月と3月に目黒被告から現金計150万円を受け取っている。
24日午後に開かれた初公判で、三浦被告は「間違いありません」と起訴内容を認め、弁護側も争わない姿勢を示した。
冒頭陳述で検察は、「被告は便宜を図った見返りがほしいと目黒被告に2度金を要求した」と指摘した。
三浦被告は、横手市の土木建築会社「クラフト」の取締役・小松谷 行義容疑者(51)にも工事を委託する際に便宜を図り、現金100万円を受け取ったとして再逮捕されていて、検察は追起訴する方針。
これに先立ち、午前には目黒被告の初公判が開かれ、「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察は「三浦被告の要求に応じ、男鹿市の路上と秋田市の金融機関の駐車場で現金を渡した」と話した上で、「相手が公務員と分かっていながら、職務の公正の信頼を失墜させる犯行に及んだ」として、目黒被告に懲役1年6カ月を求刑した。
なお、目黒被告は三浦被告について「権限を持つ立場とは思っていたが、具体的な役職は逮捕されるまで知らなかった」と話している。
今回の事件と、もう一つの贈収賄事件は関連があるのだろうか。
24日の初公判で、目黒被告と、別の贈収賄事件で逮捕されている横手市の小松谷容疑者が、知人関係にあることが新たに分かった。また、三浦被告と目黒被告は2018年ごろに知り合い、目黒被告が飲食代金を支払っていたことから、三浦被告は恩を感じ、あっせん行為に及んだことも分かっている。
さらに、木の伐採作業は、あっせん前には他の業者が請け負っていたものの、あっせん後は目黒林業が公共工事の受注件数を飛躍的に増やし、約2億円の金額の工事を請け負っていた。
三浦被告の次回公判は11月19日に、目黒被告の判決公判は11月21日に開かれる。今後の法廷で何が語られるのか、注目される。
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