さいたま市教育委員会が入る市庁舎=大平明日香撮影

 さいたま市の中学3年生約1万人を対象として6日に実施される予定だった市独自の学力検査が、前日に急きょ取りやめになったことが市教育委員会などへの取材で明らかになった。出題内容が漏えいした可能性があり、学力検査を主催する市中学校長会が「公平性、公正性に疑義を生じる恐れがある」と判断した。校長会は原因を調査している。

 市教委によると、保護者を名乗る匿名の手紙が市教委に届き、5日朝に開封したところ「生徒の間で問題を撮影した画像が広がっている」などと書かれていた。

 手紙には画像も同封されており、市教委が校長会に連絡。校長会は出題予定の問題が写っていることを確認し、5日午後に検査実施の取りやめを決めた。生徒や保護者にはメールで知らせたという。

 実施予定だったのは「さいたま市中学校長会学力検査」。5教科(国語、数学、理科、社会、英語)のテストで進路指導などに活用され、一部の私立高は結果を合否の参考にしている。市立中全58校と埼玉大付属中が対象で、9月、11月、2025年1月に計3回実施する計画だった。

 問題用紙は10月下旬に各校に配布され、カギのかかる場所での保管を指導していた。校長会は全校の保管の仕方や施錠の有無などについてアンケート調査を進めている。あわせて、今回の学力検査を中止するか延期するか検討している。

 校長会の小熊誠会長(日進中校長)は「子どもたちと保護者を不安な気持ちにさせ大変申し訳ない。子どもたちに不利益なく、公平公正に進路選択ができるよう尽力する」と話した。【増田博樹】

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