講座で訴訟の意義などを説明する中谷衣里さん(右)と高橋友佑弁護士=札幌市中央区で2024年11月8日、後藤佳怜撮影

 同性同士も結婚できる社会を目指して国を訴えた訴訟の原告が、裁判の経緯や思いを語る講座「同性婚問題のゆくえ~新しい家族の絆を求めて~」が8日、札幌市中央区のかでる2・7で開かれた。

 訴訟は2019年、道内の同性カップル3組6人が札幌地裁に起こした。21年に札幌地裁、今年3月には札幌高裁で違憲判決が出たが、国の賠償責任は否定し、原告側が最高裁に上告している。

 この日は、札幌市に住む原告の1人、中谷(なかや)衣里(えり)さん(33)と弁護団の高橋友佑弁護士が登壇した。中谷さんは、全国の同種訴訟で初めて、婚姻の自由を定めた憲法24条1項にも違反するとした札幌高裁の判決を振り返り、「(憲法が定める)『両性の合意』とは、(男女だけではなく)人と人との婚姻の自由を定めている、と判断されてうれしかった。裁判長が傍聴席にも分かりやすく判決を説明する姿勢にも、ぐっときた」と話した。

 質疑応答では「今後解決すべきLGBTQへの差別は?」との質問が出た。高橋弁護士は「少数者への小さな攻撃を意味するマイクロアグレッションという言葉がある。『彼氏いる?』という何気ない質問も、異性愛規範に基づく無意識の差別になり得る」と答えた。

 講座は、ジェンダー問題を調査・発信する「北海道ジェンダー研究会」と道立女性プラザが主催。約40人が参加した。【後藤佳怜】

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