冬眠前のこの時期、活動が活発になるクマ。しかし今年は少し様子が違うようです。
山で起きている「ある異変」をしらべてきました。
11月9日に岩見沢市内で捕獲された冬眠前のクマ。体長はおよそ1.5メートル。
撮影者が付近を歩くたびにクマは敏感に反応し、警戒している様子をみせていました。
「人がいる。歩行者が」(目撃者)
8月、道東の標茶町で撮影された映像です。
歩道を歩く男性を追い掛けようとするクマの姿をカメラが捉えました。
「逃げろ逃げろ逃げろ逃げた」(目撃者)
男性を追い掛けようとしたクマは車に気を取られたのか、道路わきに姿を消しました。
男性はこの車に乗せてもらい難を逃れました。
こちらは夜の住宅街を歩くクマです。
7月、道北の枝幸町で体長2メートルのクマが現れました。
このクマは付近の水産加工場のごみを荒らしたとみられています。
出没は札幌市西区山の手の住宅街でも。
防犯カメラには玄関のすぐ近くを3頭が歩く様子が捉えられていました。
2024年も道内で相次いだクマの目撃。
“山の異変” クマへの影響は?
一方、ここ数年でなかった「ある異変」が起きています。
「札幌市西区の登山道入り口です。こちらミズナラという木なのですが、あたり一面たくさんドングリが落ちています」(斉藤健太 記者)
無数に落ちているのは「ドングリ」です。
実は2023年、ヒグマの主食になるドングリの実りが回復傾向にありました。
道の調査によりますと、不作や凶作が続いていたドングリの実りは2024年、10年ぶりに”並作”となったのです。
ドングリが不作だった2023年は、クマの目撃も4055件と過去最多になりましたが2024年は2023年に比べて激減しています。
「10何年間歩いていてこんなにドングリやクルミの実もなったことない。今年は異常にある」
「すごく多いですよ。ドングリは大豊作。山ぶどうも多い。今年はクマ出てこないと思う。いままで出てきていたでしょ、エサなくてね」(いずれも登山者)
それでも“油断は禁物”
クマにとって秋は冬眠前に栄養を蓄えるための準備期間。2023年は山にエサが少なく、行動範囲が人里まで広がる傾向もありましたが、2024年は山に比較的エサがあるため、目撃件数が減っている可能性があるといいます。
「5月~7月はいつも通り出没していたが、秋になるとピタッと出没が止まった。エサが豊富で広い範囲で、エサ探しに動き回る必要がなかったんだと思う」(道ヒグマ対策室 武田忠義 主幹)
ただ、油断は禁物です。秋は例年、クマによる人身被害が相次いでいます。
北海道南部の福島町の大千軒岳では2023年、消防隊員3人と男子大学生が襲われ、うち大学生1人が死亡しました。
「クマ発見。ゆっくり姿勢低くしながら接近します」(無線連絡)
ハンターが持っているのは模型の猟銃です。札幌の市街地などに体長約1.5メートルのクマが出没したという想定で11月11日、訓練が行われました。
「準備出来次第、発砲をお願いします」(無線連絡)
訓練は1週間にわたりクマが市街地などに出没を繰り返しているという想定です。札幌市が危険と判断しハンターが駆除しました。
2024年は2023年に比べて目撃件数は少ないですが、いつどこで姿を現すのかわからなくなっているのが”現代のクマ”でもあります。
どのように注意すれば良いのでしょうか。
「つい数日前、雪が降ったが、クマはエサがある限りなるべく食べようと頑張る。クマによっては1月でも動いているクマもいる。寒くなったからといって安心しない。ハイキングとかで山に入るときはまだまだクマが活動しているので、音を鳴らして存在を知らせる。万一、出会ったとき用のクマスプレーを用意する。そのような対応をしてほしい」(道ヒグマ対策室 武田忠義 主幹)
冬眠前のクマはまだ活発に動いています。
山に入るときは音を出して存在を知らせるなど安全対策の徹底が求められます。
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