石川県立輪島漆芸技術研修所の入学式であいさつする新入生代表の吉田有沙さん(3日、石川県輪島市)=共同

石川県立輪島漆芸技術研修所(輪島市)は3日、能登半島地震の影響で延期していた入学式を8カ月遅れで実施した。伝統的工芸品「輪島塗」を代表とする漆芸文化が根付く地で、15人の漆芸家の「卵」が待望の第一歩を踏み出した。

漆塗りの技法「髹漆(きゅうしつ)」で重要無形文化財保持者(人間国宝)の小森邦衛所長は式辞で「地震、豪雨とやまぬ災害に不安や恐怖を抱いていると思うが、屈することなく大きく成長し、目標に向かってまい進することを切望する」と述べた。

新入生代表の吉田有沙さんは「相次ぐ苦難の中で気持ちが揺らぐこともあった。そのたびに支援してくれた皆さまのことを思い出し、以前よりも強く漆に向き合う覚悟が持てたように思う」と力を込めた。

研修所によると、新入生の15人は10〜50代の男女で、海外出身者も名を連ねる。昨年12月に試験に合格し、今年4月に入学する予定だった。

研修所は元日の地震で断水したり、研修生の住まい確保が困難になったりした影響で休講。10月から在校生の授業を再開していた。未経験者が対象の特別研修課程(2年)と、専門分野を学ぶ普通研修課程(3年)がある。〔共同〕

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