下請け企業に金型などを無償で保管させていたのは下請法違反にあたるとして、公正取引委員会は5日、通信アンテナメーカーの電気興業に再発防止や保管費用の支払いなどを勧告した。
同社は携帯電話の基地局で使われるアンテナなどの部品の製造を下請け企業に委託し、量産に必要な金型や治具などを貸与していた。
公取委によると、同社は遅くとも2021年9月以降、長期間発注の見込みがないにもかかわらず、下請け企業20社に対し、金型など計339個を無償で保管させていた。
契約では下請け企業側が少なくとも5年間は金型を保管する取り決めとなっていたが、保管費用を誰が負担するか明記されていなかった。中には約30年にわたって保管させていた事例もあったという。
電気興業はすでに無償保管させていた一部の金型を回収や廃棄しており、今後、下請け企業が負担した保管費用を支払う見通し。
下請け企業に金型を保管させる商慣行を巡っては、公取委が監視を強めており、24年7月にはトヨタ自動車子会社、11月には住友重機械工業子会社に同じく下請法違反で勧告している。
公取委は下請法違反事案について事業者側が自発的に申し出て、一定の要件を満たした場合には勧告の対象から外し、企業名を公表しない運用としている。公取委幹部は「長年の取引慣行が下請法違反にあたらないか見直し、問題があれば自発的に名乗り出てほしい」と呼びかけている。
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