兵庫県宝塚市立中学2年の女子生徒(当時14歳)が2016年12月、いじめを受け自殺した問題を巡り、遺族が市を相手に申し立てた民事調停の和解が成立する見通しとなった。調停案には市が「教訓を風化させない」と誓う内容などが盛り込まれた。
市教育委員会の第三者委員会は18年10月に女子生徒へのいじめ4件を認定する調査報告書をまとめたが、遺族が「調査が不十分」と批判、市が再調査する事態となった。
市が新たに設置した第三者委は20年6月、部活動やクラスでの25件のいじめを認定し自殺との強い関連を認め、「救えた命を救えなかった」と対応を放置した学校や市教委を指弾した。市教委は基本方針をまとめ、再発防止や学校風土改革に取り組んできた。
遺族側は24年3月、大阪簡裁に損害賠償請求の調停を申し立てた。簡裁が示した調停案は、市が支払う逸失利益や死亡慰謝料などの賠償金を4000万円とし、市が再発防止を誓い「教訓を風化させることなく、将来にわたり、すべての児童生徒に安全安心な学校環境の整備に向けた取り組みを推進する」としている。
市は、第三者委の報告から生徒へのいじめを放置したことなど市の賠償責任が認められる可能性が高いことなどを考慮し、調停案を受け入れることにした。遺族側も受け入れる方向だという。
市は10日、開会中の市議会定例会に和解についての議案を提出。議決を経て25年1月に調停が成立する予定。【土居和弘】
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