妻を殺害した罪に問われている丸山大輔元長野県議。21人の証人が出廷。18日間の審理が行われた注目の裁判は、あす12月23日、判決が言い渡されます。裁判のポイントと被告の発言をまとめました。
丸山大輔被告(2022年9月):
「自分から出てきてくれれば、それに越したことはない。何かどっかで罰でも当たれと思いますけど」
事件発生から1年後のNBSの取材にこのように答えていた丸山大輔被告。12月23日に判決が言い渡されます。
2021年9月に、塩尻市の自宅兼酒蔵で、妻・希美さん(当時47)の首を何らかの方法で圧迫し、殺害した罪に問われている丸山被告。
初公判では「妻を殺害したのは私ではありません」と起訴内容を否認し、無罪を主張しました。
裁判の争点は、被告が犯人であるかどうかの「犯人性」です。犯行を裏付ける直接的な証拠がない中、裁判は、被告の車が映ったとされる防犯カメラの映像など間接的な証拠をもとに、4つのテーマに分けて進められ、出廷した証人は21人に上りました。
「被告の所在・移動の状況」では、防犯カメラに映った車両が被告の車かどうかについて、検察側は「傷の特徴などから被告の車である」とした一方、弁護側は「ナンバーが読み取れず、断定できない」と反論。
「動機」では、検察側が不倫相手の存在や妻の実家からの借金などを理由に「妻を殺害するしかない状況だった」と主張。
一方、弁護側は「当時、夫婦間にトラブルはなく動機はない」と主張しました。
「現場の状況と痕跡」では、事務所の金庫が荒らされていたことについて、検察側は「鍵の場所を知っている被告が物取り犯の犯行に見せかけた」と主張。
弁護側は、希美さんの着ていた服から家族以外のDNAが検出されたとして「第三者の犯行と考えるのが自然」としました。
「事件前後の被告の言動」では、被告が事件前夜に議員会館の自室のパソコンにUSBを差したまま7時間半にわたって操作しなかったことについて、検察側は「原稿作成をしたように見せかけるアリバイ工作」とした一方、弁護側は「パソコンは立ち上げたが、構想がまとまり就寝した」としました。
4つのテーマの審理を終え、検察側は「被告が犯人でないと合理的説明がつかず、犯人でないことはあり得ない」などとして懲役20年を求刑。
弁護側は「直接的な証拠はなく、犯人であることを合理的な疑いが残らない程度に証明できていない」として改めて無罪を主張しました。
丸山被告は最後に、「逮捕されて私は怒りと混乱と、そんな気持ちの中にいた。私が希美を殺すわけがない」などと話し、結審しました。
結審から9日後の12月5日に記者の面会に応じた丸山被告。判決を待つ心境を次の様に語りました。
丸山被告:
「やることはやったので、ある意味大丈夫だろうと思っています。無罪を信じて待つだけです」
裁判の争点は被告の犯人性、つまり「被告が犯人であるかどうか」。
犯行を裏付ける直接的な証拠がなく、被告自身も全面否認する中、裁判で出た状況証拠や、証人・被告人の発言などから判断しなければならず、裁判員は難しい判断を迫られそうです。
刑事訴訟法に詳しい信州大学経法学部の丸橋昌太郎教授は、「現場の状況」についての判断が判決のポイントになるとみています。
信州大学経法学部・丸橋昌太郎教授:
「犯行現場に行ったかどうかとか、動機というのはあくまで可能性を裏付ける証拠にすぎない。そのこと自体で犯人性を認定できるわけではないので、極めて重要になってくるのは、犯人が被告人である場合でしか説明できないこと。顔見知りの犯行じゃなきゃできなかった点とか、あるいは金庫の位置が分かっていた点だとか、そういったところをどう評価されるのか、これがポイントになるのは間違いありません。この点を裁判員がどう判断されるか、それに尽きると思います」
結審の後、裁判官と裁判員は非公開の評議で判決内容を検討してきました。
丸山被告は有罪か無罪か。
判決は12月23日に言い渡されます。
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