能登半島地震で被災した南志見地区で入居が始まった木造長屋型の仮設住宅=石川県輪島市で2024年5月14日午前8時38分、竹中拓実撮影

 能登半島地震で被災した石川県輪島市の南志見(なじみ)地区で14日、木造長屋型の仮設住宅への入居が県内で初めて始まった。プレハブ型とは違い、仮設住宅として原則2年利用した後は恒久的に住み続けることもできるという。

 2016年の熊本地震で活用された木造仮設住宅を参考に計100戸が完成した。周辺の家並みに合わせた外観で、車椅子の利用に対応できる部屋もある。顔見知りの住民同士が入居することで地区のコミュニティーが維持され、孤独死の防止につながることが期待されている。

 南志見地区は地震後、一時孤立状態となり、ほぼ全世帯の避難を余儀なくされた。仮設に入居する真酒谷(しんざかや)幸雄さん(75)、悦子さん(74)夫妻は金沢市の避難所から自宅に通い、農地の放棄につながらないよう田植えを続けてきた。比較的被害が小さかった納屋に布団を持ち込んで寝泊まりしていたという。

 この日、鍵を受け取った悦子さんは、木の香りを吸い込み、「いい匂い。ぜいたくは言えません。近日中に荷物を持ち込みたい。風呂に入れるようになるのがうれしい」と笑顔を見せた。

 県によると、木造長屋型は13日現在、他に1285戸を建設している。プレハブ型も含めて8月までに約6400戸の完成を目指している。【竹中拓実】

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