「能動的サイバー防御」の法整備に関する有識者会議の初会合で発言する岸田首相(7日午前、首相官邸)

政府は7日、首相官邸でサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向けた有識者会議の初会合を開いた。岸田文雄首相は河野太郎デジタル相に可能な限り早期に関連法案をまとめるよう指示し、河野氏は数カ月以内に議論をとりまとめる意向を示した。

首相は「サイバー対応能力の向上は現在の安全保障環境に鑑みてますます急を要する課題だ」と訴えた。河野氏は「欧米の主要国と比べて遜色のない体制を実現していかなければならない」と強調した。

会議は河野氏のもとに設け、佐々江賢一郎元駐米大使やサイバー対策の実務者、情報法が専門の学者ら計17人で構成する。政府が秋に見込む臨時国会への関連法案提出をめざしているのを念頭に法整備のあり方などを話し合う。

能動的サイバー防御は国が平時から通信を監視し、基幹インフラへの攻撃などの兆候を探知した段階で相手のシステムに入り無害化する仕組みだ。

すでに同盟国の米国のほか、英国、ドイツなども取り入れている。日本にとって攻撃への脆弱性は各国との情報共有を含めた連携に悪影響を及ぼしかねず、対応を急ぐ。

導入にあたっては憲法21条の「通信の秘密」や電気通信事業法、不正アクセス禁止法、自衛隊法などとの整合性を整理する必要がある。政府は有識者会議での議論を踏まえながら、並行して法案づくりを進める方針だ。

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