大型ロケット組み立て棟から移動する「H3」の3号機(30日、種子島宇宙センター)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日夜、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で国の大型基幹ロケット「H3」3号機を大型ロケット組み立て棟から発射地点に移した。7月1日正午過ぎに打ち上げる予定だ。

機体の移動は30日午後8時半に始まった。専用の車両に載せられて種子島宇宙センターの大型ロケット組み立て棟を出発し、約400メートル離れた発射地点に約30分かけて移動した。最終点検を実施し、打ち上げに備える。

H3は基幹ロケット「H2A」の後継機として、JAXAと三菱重工業が2014年に開発を始めた。1段エンジンを新規に開発し、民生部品の活用などでコストを削減し、打ち上げ費用を約50億円とH2Aの半分程度にすることを目指している。年6回の打ち上げを見込んでいる。

JAXAは23年3月にH3初号機の打ち上げに失敗した。新規開発の1段エンジンは正常に作動したが、H2Aと共通する部分が多い2段エンジンの点火が確認できず、指令破壊をした。搭載していた国の地球観測衛星「だいち3号」(開発費約280億円)も失った。

再発防止対策を施して試験的に打ち上げた2号機は成功した。2号機は失敗のリスクを考慮して、大型の実用衛星を搭載しなかった。3号機は開発費約320億円の観測衛星「だいち4号」を搭載する。

H2Aは残り2回の打ち上げで退役し、25年度以降はH3に完全に移行する計画だ。3号機で初めて大型衛星を目的の軌道に投入し、安定運用につなげられるかが注目される。

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