第1回[九州]半導体産業展が25日、福岡市のマリンメッセ福岡B館で開幕した。1960年代から産業の集積が進んだ九州だが、半導体に絞った展示会はこれまで開催実績がなかった。来年は規模を2倍にして開催することもすでに決まっており、グローバルな開発・製造拠点としての九州をアピールする。
「半導体産業は20年以上の低迷が続いたが、ここにきて復興の機を迎えた」。開会にあたり、実行委員長の安浦寛人九州大学名誉教授はこう力を込めた。自民党半導体戦略推進議員連盟の甘利明会長は「日本・アジア・世界をけん引する役割を担っていただきたい」とあいさつした。
今回の展示会は261の企業・団体が出展。福岡県のブースに出展した睦美化成(福岡県久留米市)は、半導体製造装置の部品に耐性を持たせるフッ素コーティングを手掛ける。當房睦仁社長は「半導体に焦点を絞った展示会のため、営業効率が高くなる」と期待する。
域外からビジネスチャンスを求めて出展した企業も多い。越後札紙(新潟県小千谷市)は細かいちりが極めて出にくく、クリーンルームの中でも使えるラベルを手掛ける。担当者は「九州に売り込むチャンスをもらった。顧客を開拓したい」と話す。
海外系のブースもいくつか見られた。半導体の受託分析を手掛ける台湾・閎康科技(マーテック)傘下の日本マーテック(名古屋市)は23年に熊本市に分析拠点を設けたほか札幌市にも拠点を置く予定。担当者は「知名度向上や採用につなげたい」と話す。
韓国貿易センターは装置部品や素材など企業7社に加え自治体を紹介するブースを設けた。「九州との関わりを深めるきっかけにしたい」(担当者)考えだ。
安浦名誉教授は「展示会を若い人の関心を高める機会にもしたい」と話す。産官学で構成する九州半導体人材育成等コンソーシアムによると、九州の理工系人材が域内の半導体関連企業に就職する割合は5%にとどまっており、まずは関心を高めてもらうことが課題だ。今回は各地の大学・高専から会場までのバスを手配し学生を招いた。
今回の産業展は、より広い「A館」がスケジュールの関係で使えず、想定より数カ月早い24年1月ごろには出展申し込みを締め切らざるを得なかった。商談に使うスペースも十分に確保できなかった。
来年の10月8〜9日には第2回の半導体産業展を「第1回[九州]次世代物流展」と同時に開くことが決まっている。マリンメッセA、B両館を確保しており、半導体会場の規模も2倍になる見通しだ。
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