三菱重工業は25日、大型ロケット「H2A」の最終号機となる50号機の機体を愛知県飛島村の工場で公開した。H2Aは同社と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同開発した大型ロケット。高い成功率で日本の宇宙開発を支えた。50号機の打ち上げを最後に退役し、日本の基幹ロケットは新型の「H3」に移行する。
「コア機体」と呼ばれるエンジンや液体燃料タンク部分などを公開した。50号機は地球の温暖化ガスと水循環を観測するJAXAの技術衛星を搭載する。機体は27日に出荷され、30日に種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)に到着する予定。50号機はコア機体部分や輸送用コンテナに最終号機を記念したデカールを貼ることを計画している。打ち上げ時期は現時点では決まっていない。
H2Aは2001年に打ち上げに初めて成功した。6号機で1度失敗したものの、48号機まで全て成功している。07年の13号機は民間企業の三菱重工が打ち上げに必要な業務を一手に引き受ける「打ち上げ輸送サービス」として初めて成功した。12年の21号機では海外顧客の衛星打ち上げも成功させている。
三菱重工宇宙事業部の田村篤俊マネージング・エキスパートは25日、H2Aについて「50機も続いたロケットは今まで日本には無かった。開発して技術を習得して終わりではなく、(打ち上げを)ビジネスとして進めたロケットとして価値があった」と話した。
ロケットの打ち上げを巡っては世界では米スペースX社が台頭している。能力や信頼性だけでなく価格を含めた製品としての競争力が求められるようになっている。三菱重工とJAXAは使い勝手の向上やコスト削減を目指した新型ロケットH3を開発。初号機は打ち上げに失敗したものの、2、3号機は連続で成功した。今後も実績を積み重ね、打ち上げコストをH2Aの半額の約50億円まで減らすことを目指している。
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