グリセロールを付加価値の高い物質に変換できる=東京科学大学の林准教授提供

東京科学大学の林智広准教授と台湾科技大学の江佳穎教授らは共同で、バイオディーゼル燃料を製造する時の副産物を、高付加価値の物質に変換しやすくする手法を開発した。実用化できれば、バイオディーゼル燃料の利用促進に貢献する可能性がある。

バイオディーゼル燃料は廃棄油などからつくられ、自動車などの燃料として使用される。ただ、製造時には「グリセロール」という副産物が多く生じる。グリセロールは安価なので、別の用途に使えるように精製してもコストが見合わず、再利用が難しい。

副産物が多くできてしまうのは、バイオディーゼル燃料製造の課題になっていた。また、グリセロールは反応条件によって様々な有用物質に変えられるが、狙った物質に変えることは難しかった。

研究グループは、ホウ酸溶液中でニッケル酸化物を触媒に使い、グリセロールを電気的に変換した。反応溶液中のホウ酸とグリセロールの濃度比を調整すると、付加価値が高いジヒドロキシアセトンなどに効率よく変換できた。ジヒドロキシアセトンは化粧品の原料などに利用できる。触媒のニッケル酸化物は比較的入手しやすい。

安価なグリセロールを高い選択性で付加価値の高い物質に変換できれば、バイオディーゼル燃料製造の経済的な課題を解決できる可能性がある。今後は詳細な反応メカニズムを解明する研究や実用化に向けて企業との共同研究などの検討を進めるという。

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