世界気象機関(WMO)は28日、主要な温室効果ガス、二酸化炭素(CO2)の大気中の濃度(世界平均)が2023年は420㏙(ppmは100万分の1)で、1984年の解析開始以降最高だったと発表した。
WMOによると、濃度上昇のペースは加速しており、23年は前年比2・3㏙増。過去20年で10%以上増え、18世紀の産業革命前の水準(278・3㏙)の約1・5倍となった。化石燃料由来の排出量が減らず、さらに山火事に伴うCO2排出や森林による吸収量の減少が増加に拍車をかけているという。
CO2より強力な温室効果ガス、メタンの濃度は前年比11ppb増の1934ppb(ppbは10億分の1)、一酸化二窒素は同1・1ppb増の336・9ppbで、それぞれ産業革命前の約2・6倍、約1・2倍だった。
国際社会は、世界の気温上昇を産業革命前から1・5度に抑える共通目標を掲げる。11月にアゼルバイジャンで開催される国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)では、途上国での温室効果ガス排出削減強化などのための資金支援の方向性が焦点となる。
WMOのサウロ事務局長は「(気温上昇を抑制する)目標実現の道筋に乗っていないことは明らかだ。(公表した数値は)単なる統計にとどまらない。濃度上昇、気温上昇は実際に我々の暮らし、我々の惑星に影響を及ぼしている」と強調した。【大場あい】
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