ウインタースポーツのシーズン到来を前に気になる話がある。全国各地でスキー場が閉鎖されたり、オープン時期を遅らせたりする例が続出しているのだ。冬季オリンピックのメダリストも心配するほど事態は深刻だという。Q&Aでまとめた。【高橋由衣】
Q スキー場の閉鎖が全国で相次いでいる?
A 信用調査会社の帝国データバンクによると、2023年のスキー場の倒産は、過去10年の中で最多タイの7件。新型コロナウイルスの流行で観光業界が大打撃を受けた20年と並びました。
昨年の場合、主な理由は雪不足。オープン時期を遅らせたり、コースの一部を閉鎖したりするスキー場もありました。
Q 海外からのスキー客も多いのに。
A 軽くてさらさらとした「パウダースノー」は素晴らしい滑り心地で、世界でも評判です。北海道のニセコ地域が代表的。周辺にはインバウンド(訪日外国人客)向けの宿泊施設や飲食店が集積し、高い経済効果があります。
一方、国内のスキー・スノーボード人口は年々減っており、客足が遠のくスキー場では、雪不足は経営面で大打撃となっているようです。
Q 心配する声は高まっている?
A 平昌冬季五輪(18年)ノルディックスキー・ジャンプ女子の銅メダリスト、高梨沙羅さんは今年6月の報道番組で「(雪が減って)このままだと夏の競技になってしまうのでは」と語っています。
夏季大会の開催地でもある北京で22年に冬季大会が開かれましたが、ほとんどを人工雪に頼りました。
Q 地球温暖化が関わっている?
A そうですね。気象庁の資料では1960年代以降、年間のうち最も雪が降り積もった時の深さは、全国的に減少傾向にあります。また、一度に大量の雪が降る「ドカ雪」などの異常気象も温暖化が関係していると考えられています。
Q 北海道はさすがに大丈夫?
A 温暖化は雪の量だけでなく質まで変える恐れがあります。雪質は、氷の結晶が地表に落ちる間の気温や湿度で変化するためです。温暖化が進むと、北海道の雪質が、重たくべちゃっとしたものに変わる可能性があるとの北海道大などのチームの研究結果もあります。パウダースノーが「幻」になる日も遠くないかもしれません。
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