ルネサスエレクトロニクスは14日、先進運転支援システム(ADAS)搭載車の頭脳となる半導体を開発したと発表した。2025年前半にサンプル品の出荷を始め、27年後半に量産する。回路の線幅を最先端の3ナノ(ナノは10億分の1)メートル級にして電力効率を約3割高めた。
製品名は「R-Car X5H」。複数機能を集約したシステム・オン・チップ(SoC)という半導体で、高度な演算をこなせる。対応ソフトウエアやサービスが充実する英アームの規格を採用した。
車のデジタル化に伴って電子制御ユニット「ECU」が増え、軽量化が課題となっている。自動車関連メーカーの間で、複数のECUをまとめて制御できる高性能半導体の需要が高まっていることに対応する。
現在主流の5ナノ品よりも消費電力を30〜35%抑えられる。電力当たりの性能を高め、人工知能(AI)処理に対応する。駐車中はカメラ機能だけ残し他の動作を制限する「セントリーモード」などつけて電力効率を上げた。
AI性能を最大まで高めたい顧客に対しては機能の異なる複数のチップを1つの基板に集積する「チップレット」を提案する。今回のSoCに画像処理半導体(GPU)などを接続できる。ルネサスマーケティング統括部の布施武司バイスプレジデントは「顧客の車種や性能、各国のルールに柔軟に対応できることが強みだ」と話す。
今回はルネサスが第5世代と位置づける次世代車用製品の第1弾。ルネサスは30年までにADAS市場向け売上高を23年比で年率34%伸ばす計画だ。仮想空間上でSoCと他社のソフトウエアを組み合わせて検証できる開発環境も提供する。
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