EVモーターズ・ジャパン(北九州市)は23日、国内初となる商用電気自動車(EV)専用工場の完成式を開き、2025年4月に大型EVバスの組み立てを始めることを明らかにした。中国から車体部品を輸入し、組み立てや内装、塗装を施して初年度に160台を生産する。将来は年1600台を目指す。工場では来場者が試運転できるようにもする。
EVモーターズはこれまで中国のEVメーカー「ウイズダムモーター」(福建省)などに車両の製造を委託し、完成車を輸入・販売してきた。佐藤裕之(ゆうじ)社長兼最高技術責任者(CTO)は「自社工場の完成を機に品質管理を強化し、国内各地にサービス拠点を整備する」と話した。新工場稼働後も中国への生産委託は続ける。
新工場は北九州市の響灘地区にあり、敷地面積5万8000平方メートル。1期工事として24年1月に組み立て棟や試運転コースが完成し、2期のオフィス棟と塗装ブースが近く完成する。今後は3期として組み立て棟の拡張を25年末、4期でソーラーパネルや風力発電装置を27年末に設置する。全体の投資額は100億円。
EVモーターズによると、これまでEVバス300台を受注し、うち220台を納車した。最大の顧客は大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)だ。150台を納車し25年国際博覧会(大阪・関西万博)の会場をつなぐ路線に多くが投入される。
EVモーターズの主力は4車種。新工場で当面生産するのは全長10.5メートルの大型バスで、主に路線バスとして使われる。新たにマイクロバス(全長5.99、6.99メートル)を開発し、オンデマンドバスなどの需要を取り込む考えだ。
同工場は体感型EV複合施設「ゼロエミッション e-PARK」と名付け、EVの試運転や工場見学ができるようにする。太陽光発電などでEVを充電する設備も整えて、顧客であるバス・トラック事業者にEV事業所のエネルギーマネジメントの運用モデルを示す。
(木下修臣)
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