トヨタが「マルチパスウェイ(全方位)」戦略をとっているのはご存知のとおりだが、メディア的にちょっと苦労するのが、すべての次期型車に「全方位の可能性」が残されているということ。ここでお伝えする次期GRスープラはその最たるもので、可能性はマルチに存在し、情報もマルチに錯綜しているのである!!
※本稿は2024年10月のものです
文、予想CG:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、トヨタ
初出:『ベストカー』2024年11月26日号
■次期GRスープラの情報は二転三転!
BEV専用車になるという情報が途中でエンジン車になるという話に変わり、いや、BEVとエンジン車の両方を用意するかもしれないということになって、その後しばらく新たな情報なし。
次期GRスープラの情報は「頻繁に変わる」のが特徴である。もちろん、情報の出どころは信頼できる筋なのだが、計画段階の煮詰まっていない内容が確定的な情報として伝わっていたのかもしれない。そうであったとしても、その計画自体が二転三転している様子が窺える。
編集部が初めて次期スープラの情報を入手したのは2022年12月。
欧州では次世代車はZEV(ゼロエミッションビークル。排ガスを出さないBEVもしくはFCEV)以外にないという固定観念に満ちていた頃で、中国では政府の後押しもありNEV(新エネルギー車)の販売が急激に増え始めていた頃である。トヨタは「BEVに出遅れている」と言われなき批判にさらされていた時期だ。
その後状況が変わり、トヨタをはじめとする日本のマルチパスウェイ(全方位)戦略が見直されてきているのは周知のとおりだが、今もトヨタの開発現場は混沌としているという。
“マルチパスウェイ=すべてやる”ということだから課題は山積み。推測ではあるが、次期スープラは実際に計画が何度か変更されたのではないだろうか。
直近3年間のトヨタの激動ぶりを時系列で見ていく。
2021年12月、「バッテリーEV戦略説明会」を開催し、今後投入予定の16車種のBEVを公開。2030年までに350万台のBEV販売を目標として掲げる。
2022年5月、BEV専用プラットフォームe-TNGAの第一弾bZ4Xの国内販売を開始するが、6月にリコールを届け出。生産再開は10月となるなど販売は不調。
2023年4月、佐藤恒治氏が新社長、豊田章男氏が会長に就任。5月にBEVファクトリーを新設し、6月には新しい技術開発を説明する「トヨタテクニカルワークショップ2023」を開催。2026年に次世代BEV専用プラットフォームを投入することを発表した。
2024年5月、「マルチパスウェイワークショップ」を開催し、電動化に適合する4気筒1.5Lと2Lの新エンジンを発表。また、9月にはBMWとFCEV関連での提携強化を発表と、まさしく「マルチパスウェイ」で動いているのである。
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■400ps+モーターのFRハイブリッド
新型車の開発計画が途中で変化するのもやむを得ないほどの激しい動き。次期スープラもさまざまな可能性を追求してきたことが窺えるが、そんななか、編集部は久しぶりに新しい情報を入手することができた。
次期スープラの全貌をキャッチした、とまでは言えないのが正直なところだが、今わかっていることをすべてお伝えする。まずパワーユニット。これは新開発の4気筒、2Lターボのハイブリッドで決定した。
新開発2Lターボエンジンは300ps/400Nm(40.8kgm)と400ps/500Nm(51.0kgm)の2種類あると発表されており、次期スープラはもちろん、400psバージョンを使用する。組み合わされるトランスミッションは8速ATもしくは10速ATで、カーボンプロペラシャフトを採用。
ハイブリッドシステムはレクサスLX700hで採用されたパラレル式となりそうだ。これはエンジンとATの間にクラッチを置く「モータージェネレーター」を採用するもので、LX700hは4WDだが、次期スープラはFR。状況に応じてモーターのみの走行もできるシステムである。
2Lの新エンジンは既存の2.4Lターボエンジンに対して体積、全高ともに10%低減しており、そのぶんエンジンルームを小さく、低くして空力性能を向上できる。2シーターでボディサイズは現行型とほぼ同等という情報だ。
最初の情報では2025年発売を目指しているということだったが、軌道修正したことで遅れ、早くて2026年と予想。BMWとの共同ではなくトヨタ単独開発となる。
●次期トヨタ GRスープラ予想スペック
・全長×全幅×全高:4385×1870×1290mm
・ホイールベース:2500mm
・車両重量:1550kg
・パワーユニット:直4、2Lターボ+モーター
・エンジン最高出力/最大トルク:400ps/51.0kgm
・システム出力:500ps
・駆動方式:FR
・予想登場時期:2026年
・予想価格:600万〜800万円
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■次期スープラのレクサス版もスタンバイ
以前から報じているとおり、レクサスLC+RC統合スポーツクーペの開発も進んでいる。その中身は次期スープラと同じというのが最新の情報で、2Lターボのハイブリッド、FRということになる。
2シーターか2+2シーターかの確定的な情報はまだないが、どちらにしても次期スープラよりも伸びやかなデザインになる。オープンを設定する可能性もある。
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