昨年度、県内で献血をした30代以下の若い人は約1万4000人で、10年前と比べ約半数まで減少した。献血をする若い人の確保が課題となる中、助け合いの輪を広げようと活動する高校生たちがいる。
JR山形駅前にある県内唯一の献血ルーム「SAKURAMBO(さくらんぼ)」。命をつなぐボランティアと言われる献血だが、慢性的な課題を抱えている。
(県赤十字血液センター山形駅前出張所・狩野健所長)
「平日1日平均50人を目標にお願いしています。50人に満たず血液型ごとに足りなくなる時もある。職員が時間外に献血者の方に電話依頼をしている」
この献血ルームで1日に必要とされる献血者は平均で50人。
毎日、一定量の献血が必要となる理由は、血液にも「使用期限」があるためだ。
(山形駅前出張所・狩野健所長)
「こちらが成分献血から採血された血小板。これは採血後4日間しか期限がない。毎日採血しないと、患者さんの元に供給できない」
日本赤十字社によると、全国で1日3000人の患者が輸血を受けていて、このうち約8割を占めるのが「病気の治療のための輸血」。
こうした患者は定期的な輸血が必要で、なおかつ血液は使用期限が短いため、必要な量の輸血を確保するには「毎日必ず、一定の人数の献血」が欠かせないのだ。
しかし…。
(山形駅前出張所・狩野健所長)
「献血は16歳~69歳までお願いできる。この献血ルームでも50代・60代の方が約4割。いずれは卒業されるので、若い方々に献血に関心を持っていただいて協力いただかないと、今までの献血の量を確保できなくなる」
「若い世代の献血者が増えない」ことが、大きな課題となっている。
県内では昨年度、約4万2000人が献血に協力した。このうち30代以下の若い世代は約1万4000人で、10年前と比べて約半数まで減少した。
献血に来ていた若い人たちに話を聞いてみると…。
(山形市・10代)
「あんまり高校生で献血に興味持っている人は少ないのかなと。はじめはドキドキした。2回目だが、献血ルームの人たちが優しく接してくれるので緊張が和らいだ」
(山形市・20代)
「献血をアプリなどで予約できる。スマホ世代にとっては簡単に予約できるので、その点でどんどん若い子たちも献血をしていったらいいかなと思う」
(山形市・10代)
「祖父の手術の時にO型を輸血してもらって、次は孫の私がO型返していこうかなと。それの恩返しで献血をしていこうかなという感じ」
こうした中、献血に興味を持ってもらおうと活動しているのが、寒河江高校の生徒の有志4人でつくる「いのちのバトンプロジェクト」。
彼女たちが作ったのが、「献血×がん人生ゲーム」。
(寒河江高校3年・村山茉優さん)
「ボードゲームという形にすると、小さい子から大人まで、みんなが献血とがんについて楽しく深く真剣に学ぶことができるので製作した」
ゲームは、「献血する人」と「がんで輸血を受ける人」のいずれかに分かれてスタートする。
(ゲームの様子)
「1.2.3.4.5.6…薬の副作用で赤血球や血小板が減る。ハートがあれば輸血で助かる。ハートが減っちゃいます。でもまだハートが2個あるから大丈夫」
ルーレットで出た目に応じて、献血や輸血についての具体的な体験が書かれたマスをたどり、ゴールを目指す。
(寒河江高校3年・村山茉優さん)
「このボードゲームを通して、『献血をしてみたいな』という風に心を動かすにはどうやればいいんだろうと考えるのが難しかった。がんを経験した地域の方にヒアリングして、実際のエピソードをまとめて作った。このボードゲームをすると、誰かの人生の追体験ができる。心を動かすには”実際のエピソード”だったんだと気付いたことが重要だったと思う」
現在は、自分たちでデザインしたオリジナルの献血キャラクターのLINEスタンプも開発・販売していて、その売上金を使ってこのボードゲームの商品化を目指している。
(寒河江高校3年・村山茉優さん)
「このボードゲームを通して新たな気付きが生まれて、『自分も献血したいな』と思ってくれたらうれしい」
(山形駅前出張所・狩野健所長)
「『献血はこわい』というイメージを持たれる若い方もいるが、実際やってみると“そうでもない”という方もいる。あなたの一歩が患者さんの人生を変えます、命を救います。あなたの本当の勇気が皆さんのためになりますので、ぜひ献血にご協力いただきたい」
「命のバトン」とも呼ばれる献血。高齢化が進む中、助け合いで成り立っている献血を支えていくため、若い世代の理解と協力がより重要さを増している。
高校生たちが開発したボードゲームの商品化が実現して、より多くの人に献血を身近に感じてもらうきっかけになるといい。
山形駅前にある献血ルーム「SAKURAMBO」は、年末年始以外は毎日献血ができる。スマートフォンアプリで予約すると待ち時間なくスムーズに献血ができるということで、担当者は「若い人はもちろん、幅広い世代の人に来てほしい」と話していた。
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