妻の葬儀を済ませた翌日が子供たちの中学校の入学式だった。悲しむ間もなく怒濤(どとう)のように新学期が始まった。
3人は近くの区立中学校に、1人はバスで通学する特別支援学級のある中学校に入学した。
3人の入学式には私が出席し、3人が別々に配置された各クラスの記念写真に収まった。保護者が次々と入れ替わって撮影する中、私だけ動かずにいて気恥ずかしかった。
特別支援学級の入学式には母と小学校の担任の先生が付き添ってくれた。その後のバス通学には往復私が付き添った。私は連休が終わるまで休暇を取っており、仕事開始後の付き添いをどうするか案じていたが、意外に早く1人で通学できるようになってくれた。
家事をどうこなすかも悩ましかった。4人に朝食を食べさせ、学校に送り出して出勤した。特別支援学級に行く子にはお弁当を作った。私がいない夕食には宅配のおかずを頼んだ。洗濯は週末にまとめ、膨大な枚数のワイシャツや下着や靴下を洗った。
どたばたの新学期だった。子供たちも寂しさを感じながら頑張ってくれた。妻が4人の同い年のきょうだいを残してくれたからこそ頑張れたと思う。妻もほほ笑んでこの新学期を見ていてくれたはずだ。きっと。
伊藤敏孝(65) 東京都中野区
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