東京大による授業料引き上げの正式決定を受け、学生有志でつくる「東大学費値上げ反対緊急アクション」は25日、「値上げの妥当性に欠陥がある」などとする抗議声明を公表した。「地域や経済条件にかかわらず高度な教育機会を提供するのが国立大の存在意義だ」とし、政府に対しても国立大に配分する運営費交付金の増額を求めている。
東大は24日、2025年4月の学部入学生から、授業料を現行規定で引き上げが可能な上限である2割増額し、現行の53万5800円から64万2960円とすると発表した。学費減免制度も拡充するとしている。
これに対し声明では、日本が批准している国際規約は大学などの高等教育を徐々に無償化するよう定めており、学費値上げはこれに反するとして撤回を要求。学費減免制度も不十分で、「教育の機会を不当に制限される可能性がある。東大が自ら掲げるダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包摂性)に反する」と指摘した。
さらに、学生が値上げに関する議論への参画を求め続けたにもかかわらず、藤井輝夫学長は1度オンラインで対話しただけで、その後は議論の機会が設けられなかったとし「学生の声に蓋(ふた)をするように拙速かつ強引に値上げを決定した」と大学を批判した。
値上げの要因には国立大の逼迫(ひっぱく)した財政状況があるとされるが、声明では、問題の背景に国からの運営費交付金の減額や、国立大学法人化に伴う資金獲得面での競争政策の導入があると指摘。政府に対して「全ての学問を志す人々の高等教育へのアクセスを保障するため、交付金増額を積極的に検討するなど政策を見直すべきだ」とした。その上で、大学には学生と協力して政府に働きかけるよう求めた。【斎藤文太郎】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。