白米が高タンパクで低GIになれば理想的な主食になる FLYINGV43/ISTOCK
<遺伝子解析で高タンパク・低GIのコメが開発された>
AI(人工知能)の活用により、従来のコメより高タンパクで、しかも血糖値が急上昇しない品種が開発されたという。フィリピンの国際稲研究所(IRRI)が米カリフォルニア大学デービス校、独マックス・プランク研究所などと協力して行った研究で、その成果は米国科学アカデミー紀要(PNAS)に8月27日付で掲載された。
食後血糖値の上昇率を示すGI値の高い食品を日常的に食べていると、肥満やインスリン抵抗性、前糖尿病、さらには2型糖尿病などにつながることは知られている。高GI食品の代表格は精製された小麦粉や白米だ。どちらも消化吸収しやすい炭水化物を多く含む一方、タンパク質や食物繊維が少ない。
だが今回、研究チームはAIによる解析でタンパク質の含有量とGI値をつかさどる遺伝子を特定した。そして2種類の稲の交配により、GI値が45に満たず(白米のGIは80前後、玄米でも55前後)、タンパク質の含有量が16%弱(通常の白米の約2倍)の品種を作り出すことに成功した。
コメが主食の人口に朗報
こうした品種が世界中で栽培されるようになれば、コメを主食とする地域の人たちも良質なタンパク質と必須アミノ酸を手軽に摂取しやすくなると期待される。
世界全体では約5億3700万人の成人が糖尿病を患っており、その90〜95%は生活習慣や高GI食品の摂取に関連する2型糖尿病とされる。ちなみに世界の糖尿病患者の約60%はアジアにいて、白米の約90%はアジアで生産・消費されているという。
「地球の総人口のかなりの部分がコメを主食としている。だから良質なタンパク質を多く含み、GI値が低く、かつ収量の多い品種を栽培することは、低・中所得国の人々の栄養状態改善につながる」。今回の研究を指導したカリフォルニア大学のグルデブ・クッシュは、IRRIの報道発表でそう述べている。
ただし、その普及には安全性と栽培適性(気温上昇への適応力など)がカギとなる。
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