今から63年前、手紙を付けて飛ばした風船がきっかけで県外と交流が始まった学校が越前市内にあります。遠く離れた県外の小学校と63年続く「風船の縁」を取材しました。
さかのぼること63年前の1961年、武生東小学校の当時の児童が、クラス活動で手紙を付けた風船を飛ばしました。風船が行き着いた先は、200キロ離れた静岡県浜松市でした。
武生東小学校・加畑重樹校長:
「63年前に本校の小学3年生が飛ばした風船が静岡県の浜松市に降り、それを拾ってくれた積志(せきし)小学校の子どもとの縁で文通が始まったと聞いている」
それ以降、武生東小学校と浜松市の積志小学校は63年にわたり交流が続いています。現在は、武生東小の児童1人1人が、3年生の時に積志小の3年生3、4人に宛てて最初の手紙を出します。そこから6年生までの4年間、文通を続けているのです。
5年生になると文通相手と初めて対面することになっています。今回は、6月に武生東小の児童らが積志小を訪れました。
そして今度は、武生東小が積志小の児童を迎える番です。10月4日、校門から体育館まで、児童らが花道を作って拍手で出迎える中、積志小の5年生約120人が訪れました。
交流会では、武生東小の児童が越前市を紹介する劇を披露したり、両校の児童が一緒に歓迎のダンスを踊ったりしました。
グループに分かれて、互いの学校のことや地域のことを話した児童たち。これまで手紙で親交を深めてきましたが、直接会って話せるこの日は格別な一日となったようです。
武生東小の児童は「初めて会ったときは嬉しかったけど、2回目だからもっと嬉しい」「もっと仲良くなって、また実際に会える日があるといいなと思う」と笑顔で話します。
体育館で児童たちの交流をほほ笑ましく見守るのは袴田秀明さん(72)です。63年前に浜松市で風船を拾い手紙を返した男性です、袴田さんの手紙が、両校の交流が始まるきっかけとなりました。この日は、小さな後輩たちとともに越前市を訪れていました。
袴田さんは「私はこんなに長く続くとは思わなかったけれど、子どもたちの熱心さがこの力を生んでいると思う。また70年、80年と続くようにと思っている」と話します。
交流会後、袴田さんが話していたのは、63年前、越前市から風船を飛ばした武生東小の当時の児童たちです。「(また会えて)感無量。お互い元気でいないといけないなと」と涙をにじませながら話してくれました。
武生東小学校と浜松市の積志小学校。文通が始まった互いの初代の先輩たちの交流は、半世紀を優に超えた今も続いていました。
加畑校長は「これで交流を最後にするのではなくて、大人になってからもこの交流を続けていって、友情の灯をこれからも絶やさないでほしい」と願っています。
63年前につながった「風船の縁」は、世代を超えてこれからも受け継がれます。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。