秋の味覚のひとつ「カキ」。実は、食べすぎると「柿胃石」といって、稀に胃に石ができることがあります。なぜ胃石ができるのか、特に注意が必要な人について、医師に聞きました。
福井大学病院 光学医療診療部・大谷昌弘医師:
「頻度は高くないが、柿胃石として我々が認識しているのが、カキのタンニン酸の成分が胃酸と反応して少し溶けにくいタンパク複合体になり、それが胃に停滞することで胃石になる」
大谷医師も実際に診察をしたことがあるそうで「70代の男性で、年末に干し柿を1日に7つくらい食べた後、数日後に腹痛で来た。内視鏡カメラで見ると胃の中に5センチ大くらいの胃石が2つあった」と話します。
胃石ができると、胃の粘膜を傷つけて胃潰瘍になったり、腸まで流れていき腸閉塞になったりすることもあるため、適切な治療が必要です。
この患者の治療には意外な治療法が用いられました。「その時点では、胃石が硬くて内視鏡で治療ができなかったので、コーラで柔らかくして数日後に内視鏡ですべて砕いて処理した」と大谷医師。
コーラを飲んで胃石を柔らかくするという驚きの治療法。この患者の場合、3日間、朝と晩に50mlのコーラを飲んでもらったといいます。「コーラを飲めば胃石ができないということではなく、コーラの炭酸で胃石を柔らかくすることにより、その後の治療がしやすくなる」(大谷医師)
柿胃石ができる要因としては、高齢者や糖尿病患者、胃の手術後など、胃のぜん動運動が低下していることも関係していると言われています。
大谷医師は「カキをたくさん食べたからなる、というわけではなく子供や若年者はできることは少ないと思う。報告を見ても比較的高齢の方が多い」と話します。
胃石を予防するため、カキを食べる際は「1日1、2個くらい。ただ、連日食べて胃石ができたという報告もあるので、連続して食べたり、たくさん食べたりというところに注意してもらえば」と注意喚起します。
柿胃石ができるのは稀で、福井大学病院では、10年間で2例ということです。カキを食べる=胃石ができるというわけではありませんが、胃のぜん動運動が低下している高齢者や糖尿病患者、胃の手術をした人は柿胃石になりやすいので、カキをおいしく食べるためにも、食べる量に気を付けましょう。
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