瀬戸内海で水揚げされる「魚」の価値を高めるため、「漁師のこだわり」を価格で評価する「目安」にする”新たなセリ”の実証実験が始まりました。
「おはようございます」
【鈴木記者】
「午前3時すぎ、いま続々と魚が運び込まれています。これはウマヅラハギですね」
早朝の魚市場…。
新鮮な魚介類が数多く並ぶ競り場の一角で準備が進むのは、これまでにない”新たなセリ”の実証実験”です。
漁師が苦戦する県内の水産業を持続可能なものにしていくため、瀬戸内海で水揚げされる魚介類「瀬戸内さかな」のブランド化に力をいれる広島県。
その喫緊の課題となっているのが市場での取引です。
【鈴木記者】
「午前4時すぎです。競りに向けて続々と魚が並ぶ市場ですが、こちら普段はないゾーンができています。並ぶ魚をみてみると、こうしたカードが一緒につけられていますね。QRコードを読み込んでみます。あ、こうして漁師のこだわりが見られるようになっているんですね」
【鹿川漁協(江田島市)野村幸太さん】
「(ハモのこだわりは)エサがここに残っていたらどれだけいいしめ方をしてもすごく早い段階でしまってしまう。生かしこむことによってエサをはかせて、完全にエサがないような状態にして(出荷して)いる」
【鈴木記者】
「午前4時15分です、いま威勢の掛け声とともに競りが始まりました」
【セリ】「43番が500円…小アジは~…」
そしていよいよ…、「こだわり漁師の魚」が競りにかけられます。
「はい、お願いします!」
まずはセリ人が「こだわり」について紹介。
これまでは鮮度や大きさなど「魚の価値」を評価の軸に取引してきましたが、新たな競りでは”こだわり”を”評価軸”にして価格をつけます。
【セリ人】
「生き〆、神経〆、〆た後の氷水での冷やしこみ等の丁寧な処理を徹底したサワラ!さあ内藤希誉志の瀬戸内さかな、26番5000円!」
次は野村さんが獲ったハモや活きの良いフグです…。
【セリ人】
「フグは~?!」
「1.5が8000円!」
【フグを買い入れた広栄水産の仲買人】
「思いより3000円高く買っている。それなりのお金が持って帰れればみんなやる気になって獲りに行ってもらえるのでその分、食卓にいいものが並ぶと思いますのでそのために僕たちも少しずつ努力をしていこうと思っている」
今回のセリでは、全体的に通常のよりも2倍から3倍、キロ当たりの価格がついたということです。
【広島魚市場鮮魚部・右近浩二次長】
「特別な感じでやるのであれば、個人としては1週間に1回くらいが妥当なんじゃないかなと思ったり。当然市場も(漁師の手取りを増やすために)努力しないといけないが、漁師ももう一段階工夫していただいて、みんなで努力していくような形をとれればいいなと思う」
県などは、課題を整理し今後の可能性を探っていくことにしています。
《スタジオ》
【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】
「消費者がまだ知らない良さ、おいしさを漁師の方が伝える。おいしい物で希少性がある場合は値があがるわけです。しかし、まだみんなが良さを知らないものは、なかなか市場に回らない。その良さが伝わることによって、ぐっと価値が上がってすごくいいことになると思います」
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