「踊りたい」という思いがあれば、誰でも参加できる。

年齢も、性別も、障害の有無も関係ない。そんな夢の舞台が大阪で開かれた。

■「ダンスは誰のものでもある」

東京パラリンピック開会式でソロダンサーを務めた森田かずよさん(47)が企画したこの舞台。

森田さん自身、生まれつき足の骨や手の指の一部がないなどの障害がある。

しかし、「高校2年の時に宝塚と音楽座のミュージカルを観て、舞台に立つ人の輝きを見て、純粋に憧れましたね。(母に)反対は一切されなかったです。やってみたら?と言われました。どうなるか知らんけどって」と振り返る。

大学生になってミュージカルスクールに通い始めた森田さん。

【森田かずよさん】「その時代にしては、よく受け入れてもらった。全部拒絶されていたら、ちょっとくじけていたと思います」

この経験が、森田さんの原点となった。

■公園のような多様性の舞台

そんな森田さんが力を入れているのが、やりたい人なら誰でもダンスを踊れる場所だ。

年齢、性別、経験に身体的特徴、一切関係ないこの舞台。3カ月後の本番に向けて、28人の参加者が集まった。

最年長は95歳のゆき子さんだ。「分け隔てないのがありがたいです」と笑顔で語る。

一方、ダウン症の夏帆ちゃんは、「楽しい!」と元気いっぱいに踊る。

今回、森田さんが舞台のテーマに選んだのは「公園」だ。

【森田かずよさん】「あまりに多様な人がいるから、この人たちが共同で集う場所ってどこだろうと思った時に、あ、公園にしてみようかなって」

参加者たちの動機は様々だ。

【参加者】「能登出身で、親戚の家がなくなり、色んなことがあって苦しくて。どこか自分で発散したいところがあって」

そう語る人もいれば、

【参加者】「色んな人と、つながりを増やしたいなと思って」

と参加した人もいる。

3カ月間の稽古を経て、いよいよ本番。

舞台上で、参加者たちは生き生きと踊った。

【参加者】「私にとっては救いの場所だった。いろんなこと忘れられる」

【参加者】「普段あんまり関わらない人とも関われるし、みんなで楽しめるから楽しい」と、参加者たちは口々に感想を述べた。

■ダンスが持つ力

森田さんは、「私は踊ることで、非常に自分の障害をポジティブに見れるようになった」と語る。

そして、「踊って解決することはたくさんあると思っているし、勇気を持って来てくれた人を、ちゃんと受け入れたい」と、ダンスの持つ力を信じている。

「本当に皆さんが楽しそうに幸せそうにしていて、ダンスをきっかけに普段の自分や生活に、より彩りや、背中をふっと押してくれるものがこの場であるならこんなにうれしいことはないです」と、森田さんは満足げに語った。

置かれた環境も、経験も関係ない。ダンスで彩る人生を―。

森田さんは、これからも誰でも踊れる場所をつくり続ける。

(関西テレビ「newsランナー」2024年12月10日放送)

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