球体展望室に現れた全長約15メートルのスピノサウルスのロボット。世界初公開となる

恐竜化石の発掘量が国内で突出し、〝恐竜王国〟として知られる福井県。3月には北陸新幹線が敦賀まで延伸するなど、いま話題の地域となっているが、そのタイミングに合わせ、世界3大恐竜博物館といわれる福井県立恐竜博物館(同県勝山市)から、貴重な化石標本や生体復元ロボットなどが東京・お台場のフジテレビにやってきた。5月6日まで同社屋で開催中の「オダイバ恐竜博覧会2024」で、日本の恐竜研究の拠点である同博物館と、見せることのプロである同社がタッグを組んで、大人から子供まで楽しく、分かりやすく、しかも深く学べる展示となった。

球体展望室も会場に

第1会場の実物大ティラノサウルス(中央)を背に、「気軽に見てもらえる展示を心掛けた」と語る恐竜博覧会の監修統括、柴田正輝さん

「ここをきっかけに、〝福井の恐竜博物館にぜひ行ってみたい〟と思ってもらえる展示を心掛けた」と話すのは、同博物館主任研究員で、福井県立大恐竜学研究所教授の柴田正輝さん。今回の恐竜博の監修統括を務める。

展示会場は、1階広場に設置された大型テントの第1会場、22階の第2会場、球体展望室「はちたま」の第3会場―からなる。

「恐竜って何だ??」をテーマにした第1会場では、実物大(全長約12メートル)のティラノサウルスの生体復元ロボットがお出迎え。「実物大でこれほど精巧に動くものはない」(柴田さん)という迫力あるもので、鼻と目の上の3本の角が特徴的なトリケラトプスの全身骨格(米国)などとともに、〝これぞ恐竜〟という展示となっている。

他にも、現在知られている中では最も原始的な恐竜の一種であるエオラプトル(アルゼンチン)の全身骨格をはじめ、10点以上の全身骨格が並ぶ。

「化石だけでなぜ分かる?」素朴な疑問に答える第2会場

今回の展示の大きな特徴ともいえるのが、「恐竜研究最前線!」をテーマにした第2会場。柴田さんによると、「福井県立恐竜博物館に在籍する6人の恐竜研究者それぞれが、どのような研究をしているのかを紹介している」とし、各研究者自身が語る1分半程度の映像と展示物を併せて見ることで、多くの人が抱く〝なぜ、化石だけで恐竜の生態や姿が分かるのか〟といった疑問に分かりやすく答えてくれる。

脳が収まっていた空洞が分かる頭骨の断面(上)と空洞から取った型(下、いずれも複製)

恐竜の脳を研究している河部壮一郎研究員の映像のコーナーでは、脳のどの部分が大きいか小さいかを見ることにより、その部分の機能から「視力が優れていた」「嗅覚がよい」などの特徴を調べることができると紹介。脳などの柔らかい組織は化石としては残っていないものの、頭骨の内側にある、脳が収まっていた空洞の型を取ることで、脳の形を知ることが可能になるといい、空洞のある頭骨と、そこから取った型(いずれも複製)も展示されている。

福井で見つかった4点の足跡化石(複製)。福井の恐竜博物館でも一度にこれだけの展示の機会はない

築地祐太研究員が行っているのは恐竜の足跡の研究。映像では、骨や歯の化石からは分からないことを「足跡の化石が教えてくれる」とし、足跡が3歩以上連続している化石があれば、歩幅や移動速度を推定することができるという。また、たくさんの足跡が同じ方向を向いている化石の場合、群れで生活していたことが分かるという。

解説とともに、勝山市で発掘された足跡の化石(複製)4点も展示されており、柴田さんによると「福井の恐竜博物館でも足跡は1、2点しか展示されていない」とした上で、「今回の第2会場のスペースの広さもあり、福井の恐竜研究の展示に関しては、現地をしのぐほどの充実度となった」と語る。

こうした研究者の話をじかに聞ける機会は現地でも多くはないといい、今回の映像による解説は、研究の〝裏側〟を知る貴重な機会といえそうだ。

このほか福井県で発見され、昨年、新種であると報告されたティラノミムス・フクイエンシスの部分骨格も展示。福井県以外で見られるのはこれが初めてだ。日本で見つかった新種の恐竜11種のうち、6種が福井県勝山市のもので、第2会場ではこのうちの3種の全身骨格を見ることができる。

大空を泳ぐ圧巻約15メートルのスピノサウルス

恐竜博公式サポーターのやす子さん(右)と、「ぼくのご先祖さまに会いに来て」と話す〝公式オウエンザウルス〟のガチャピン

「王者の部屋」と題した第3会場は、東京を一望できる球体展望室(はちたま)の特徴を最大限に生かした展示になった。〝恐竜の王者〟として、最大の肉食恐竜といわれるスピノサウルスに焦点を当て、全長約15メートルに及ぶスピノサウルスのハイクオリティーな新作ロボットを世界で初めて公開した。世界中の博物館に展示されている恐竜ロボットの製作も手掛ける「株式会社ココロ」(東京都羽村市)が今回の恐竜博のために作り上げたものだ。

「新たな化石による近年の研究で、陸ではなく水の中などで生きていたとの学説に従い、泳ぐ動作を取り入れた最新のロボットで、世界にもまだない」(柴田さん)といい、展望室の大きな窓から見える大空を海と見立て、巨大な体をゆっくりとくねらせながら泳ぐ姿は圧巻だ(冒頭の写真)。ほかにも、日本初公開となるスピノサウルスの下あごの骨(実物、個人蔵)なども展示されている。

第3会場の壁面は、博物館などではあまりない鮮やかな黄色に統一されている。柴田さんは「通常、博物館では地味な色使いが多いが、フジテレビによるカラフルな配色の選択で、全身骨格がより見やすく、〝映える〟展示となった」と思わぬ収穫があったといい、「硬過ぎる展示にならず、恐竜博目当てでなくフジテレビを訪れた人にも『ちょっと見てみようか』と思って立ち寄ってもらえれば」。そして「展示を見て興味がわいたら、次は福井の恐竜博物館にぜひ来てほしい」と呼びかけた。

化石発掘体験、福井グルメ…展示以外も充実

福井の恐竜博物館でも人気の、ハンマーとタガネを使って岩石から化石を見つけ出す化石発掘体験。今回はお台場でも味わえる

展示以外の体験プログラムなども充実。福井の恐竜博物館でも人気の、ハンマーやタガネを使って岩石から化石を見つけ出す「体験!〝ホンモノ〟の恐竜化石発掘」が1階の会場で行われている(恐竜博の入場券とは別に1800円のチケットが必要。購入はフジテレビダイレクトhttps://fujitvdirect.jpから。空きがあれば当日参加も可)。タイの発掘現場から持ってきた石を使い、化石を見つけた場合、博物館の研究員から解説してもらえるという本格的なものだ。

また、新幹線が福井・敦賀まで延伸したことを記念した「北陸新幹線コーナー」(24階)も。福井県の名所を再現したNゲージの鉄道模型の大型ジオラマや、W7系ミニ新幹線かがやきの乗車体験(乗車券400円)などがあり、親子で楽しめる。

1階広場は「ふくいの魅力大特集エリア」として、ソースかつ丼(1000円)や越前おろしそば(900円)などのご当地グルメ、名産品の販売コーナーなどもある。

オダイバ恐竜博覧会は一般2200円、中・高校生1500円、3歳~小学生1300円。フジテレビ本社屋3階チケットボックスのほか、フジテレビダイレクトなどのプレイガイドで購入できる。

詳細はオダイバ恐竜博覧会2024公式ホームページへ。

提供:株式会社フジテレビジョン

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