東京大学の入学式が12日、東京都千代田区の日本武道館で開かれ、新入生約3100人が参加した。藤井輝夫学長は式辞で、入学者の性別の偏りや、政治や経済など幅広い分野で意思決定に関わる女性が不足していることに言及。「あらゆる構成員が等しく権利を持つ社会を実現する責任がある」と強調した。
東大は4月に学内の多様性向上を担う「多様性包摂共創センター」を開設し、女性や障害がある学生・教職員らの支援を強化。学生の女性比率を30%にするといった目標を掲げている。今年度の新入生の女性比率は約21%だった。
藤井学長は「多様な属性を持つ人々が暮らす社会で、仲間の輪を広げていくことが大切だ」とした上で「多様な知に触れて解決すべき問題の多次元性に思いをはせ、よりよい社会の実現に力を発揮してほしい」と呼びかけた。
東大医学部を卒業して昨年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士候補者に選ばれた米田あゆさんも登壇。大学のヨット部での経験が宇宙飛行士候補者の選抜試験で生きたとし、「未体験や未開拓の地に足を踏み入れた経験が新しい一歩を踏み出す原動力となる」とエールを送った。
新入生を代表してあいさつした文科3類の山際美愛さんは「周りとの交流を通じ、おのおのの価値基準をアップデートしながら、今よりもっと生きやすく、もっと面白い世界を築いていくために学ぶことを誓う」と述べた。
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