出動中にフロントガラスを割られた救急車両=東京消防庁提供

 東京消防庁は2019年からの5年間で、管内で救急隊員への暴力などの妨害行為が計96件あったと明らかにした。救急出動の件数は過去最多を上回るペースで増加しており、東京消防庁は「妨害行為が救急出動の逼迫(ひっぱく)や搬送を遅らせる要因になる」としている。

 19~23年にあった妨害行為計96件のうち、隊員への暴力など身体的危害は35件▽救急車や資器材の破損は40件▽暴言などは21件――だった。今年もすでに15件(9月17日時点)を確認したという。

 9月には、東京都狛江市内で傷病者を救急車に収容後、近くにいた家族が救急隊長の胸ぐらをつかみ、馬乗りになって顔を殴る事案が発生。救急隊長の搬送や現場確認などのため、救急と消防の計4隊が追加で出動する事態になった。

 過去には、救急隊員が傷病者からかみつかれたり、聴診器をかみちぎられたりなどの行為もあったという。東京消防庁管内の救急出動件数は66万7684件(9月17日時点)で、過去最多だった23年同期比で1万5989件(2・5%)増えている。【朝比奈由佳】

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