年齢構成の異なる地域間で死亡状況の比較ができるよう調整した2021年の「年齢調整死亡率」で、沖縄県内の新型コロナウイルス関連死は人口10万人あたり8・83人で全国最多だったことが2日、群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師のまとめで分かった。徳田医師は「医療が逼迫(ひっぱく)しても沖縄は離島県で隣県への救急搬送が難しかったことが一因。県民の命を守るためにも医療従事者の増員が急務だ」と強調した。(社会部・下里潤)
徳田医師によると、2位は大阪で6・67人、3位は東京5・11人。全国平均は3・0人だった。同年は病原性が高いデルタ株が猛威を振るった時期。病院や高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が相次いだ。医療従事者の自宅待機が続き、受け入れ患者が制限される事態も生じた。
徳田医師は「沖縄は観光客や米軍など人の往来が多く、流行状況は東京や大阪と同程度。異なるのは隣県への搬送が難しい点で、入院できず結果的に自宅や施設でみとられる場合が多かった」と分析する。
医療逼迫を繰り返す最大の要因は医療従事者不足だとし、4月に始まった「医師の働き方改革」や、国の研修医募集定員の減で確保が困難になっていることも影響していると指摘。「沖縄の地理的状況を考慮する必要がある。新たなパンデミック(世界的大流行)に備えるためにも県民全体で考えてほしい」と話した。
5日午後2時から、南風原町の県医師会館で開かれるシンポジウム「沖縄の医療を守ろう!」で詳細を報告する。参加無料。問い合わせは群星沖縄臨床研修センター、電話098(870)0061。
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