能登半島地震による大火で被災した建物の解体作業が続く、石川県輪島市の「輪島朝市」周辺(21日)=共同

総務省消防庁消防研究センターは21日、能登半島地震で発生した石川県輪島市の「輪島朝市」周辺の火災について、これまでの研究結果を発表した。出火後、いったん延焼の勢いは弱まったが、飛び火などにより再び拡大したと考えられるとした。地震の影響で十分な消火作業ができなかったことも被害が拡大した原因とみられる。

地震は元日午後4時10分に発生。センターなどによると、朝市周辺の出火時刻は不明で、消防が覚知したのは午後5時23分だった。消防庁の調査では、屋内の電気配線が地震で傷つき、ショートして出火した可能性が指摘されている。

大津波警報が出て多くの住民が避難し、消防の監視カメラは地震で機能しなかったという。研究結果が発表されたこの日の会合に出席した輪島消防署の出坂正明署長は「発見が遅れた。十分な責任は果たせなかったが、職員は精いっぱい頑張った」と述べた。

火は約1時間で10棟近くに燃え広がったとみられる。燃えにくい外壁に移るなどし、消火作業も始まったことで、約1時間〜1時間半後の間に一時的に延焼の勢いは収まった。しかし、燃えにくい建物が燃え始めたことや飛び火により、発生から約2時間後には再拡大したという。地震の影響で、消防の消火作業では近くの防火水槽から水が引けず、大津波警報のため海水も利用できなかった。

消防研究センターの篠原雅彦・大規模火災研究室長は「木造建物が密集し、地震と津波の影響で消火活動が困難な中で延焼した。こうした火災は全国各地で起こりうる」と指摘した。〔共同〕

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