神奈川県庁=横浜市中区で2019年2月18日、山本明彦撮影

 神奈川県立病院機構は、運営する県立こども医療センターで2021年に手術後の小児患者が死亡した医療事故について、遺族と3月31日に示談が成立したと公表した。遺族からは「外部調査委員会」が示した患者の安全確保などの提言42項目を実施することや再発防止に取り組むことが求められたという。

 機構はホームページに「こども医療センターにおける医療事故について」と題する文章を掲載。「改めて亡くなられた患者さんに対し、哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方に心よりおわび申し上げます」と謝罪した。その上で職員の意識改革や2月29日に外部調査委員会が公表した42項目の提言に早期に取り組むとした。

 提言は病院機構に対するもので、19項目が医療センターに該当。「リスクマネジャー会議に恒常的に欠席している医師について交代を検討するか、会議開催の時間や形態を工夫する」「医療事故調査を担当の責任部署や事務局を再度明確にする」などが含まれる。

 同機構は提言を受けて、プロジェクトチームを組織し、行動計画を作成するとしていた。機構は「できる部分から取り組んでいる」としている。

 センターは23年9月、外部の専門家を入れた事故調査委員会がまとめた報告書を公表している。報告書は手術に問題はなかったものの「術後の管理責任体制が不明確」などと指摘。センター側も「適切な術後管理がされていれば、救える命だった可能性が大きい」との認識を示していた。遺族は第三者機関「医療事故調査・支援センター」に調査も依頼している。

 小児患者は手術後3日目に高度治療室から一般病棟に移動した後、高熱や下痢などが続き、5日目に容体が急変して亡くなった。【遠藤和行】

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